2024.12.11 「エッジAIのゲームチェンジャーに」 STマイクロ、新型マイコンにAIプロセッサー

新型マイコンでは複数の画像認識を同時に行うことが可能

オテリ氏は同社のエッジAI向けデバイス全体の戦略も語ったオテリ氏は同社のエッジAI向けデバイス全体の戦略も語った

 スイスのSTマイクロエレクトロニクスは、エッジ機器に組み込むAI(人工知能)に対応するMCU(マイクロ・コントローラー・ユニット)「STM32N6」を発表した。推論用に独自設計したAI処理専用プロセッサーを搭載し、MPU(マイクロ・プロセシング・ユニット)と同等に近い性能を低コストで実現。昨年から特定顧客向けに試作品を提供していたが、今回量産を開始した。

 新製品は、同社が開発を進めてきたAI処理専用のNPU(ニューラル・プロセシング・ユニット)「Neural-ARTアクセラレータ」を初めて搭載したMCU。機械学習性能は同社既存のハイエンドマイコンの600倍だ。MPUより基板が簡素で面積が小さく、省電力と低コストを実現できるMCUで、リアルタイム制御に優れたAI処理を可能にした。

 同社マイクロコントローラ・デジタルIC・RF製品グループでアジアパシフィック地区のバイスプレジデントを務めるパオロ・オテリ氏は「マイコンでAIを使う流れの中でもゲームチェンジャーになる」と自信を見せる。

 画像処理や物体検出を行うコンピューター・ビジョン向けに設計したのも新製品の特長だ。新製品を使ったAIアプリケーション開発のためのソフトウエア・ツールも用意している。

 用途は幅広く、産業・コンシューマー機器の両方を想定する。トラックに搭載し運転手の疲労の度合いを判別するといった車載アフター・マーケットへの提供も視野に入れている。