2024.12.26 千葉工業大学、「宇宙・半導体工学科」新設
「新学科を宇宙分野、半導体分野に興味を持ってもらうための入り口にしていきたい」と語る前田常務理事
千葉工業大学は来年度から工学部に宇宙・半導体工学科を開設する。機械電子創成工学科からの改組。約4分の3の学生が学部卒で就職する同大学は、ニーズが高まる分野に特化したプログラムにより製造業に人材を供給する。同大学の前田修作常務理事に話を聞いた。
―学科新設の経緯を教えてください。
前田常務理事 宇宙分野と半導体分野はともに社会的なニーズが高まっており、それに応えるための開設だ。宇宙分野に関しては、当大学の「惑星探査研究センター」での先端的な研究の下地がある。半導体分野に関しては、ラピダスの千歳工場、TSMC(台湾積体電路製造)の熊本工場など、国内での投資に注目が集まっており、ニーズを感じている。
社会の要請に応えていることを示すためストレートな学科名にした。入学する受験生と卒業した学生が就職する企業両方に向けたアピールになる。
―「宇宙」と「半導体」は、一見するとつながりが薄いように思われますが。
前田常務理事 どちらも総合工学で、機械系と電気電子系、両方の知識が必要になる点で共通している。広く工学分野を学び、社会的ニーズに応答するための学科として、2つを組み合わせた。
―具体的な教育プログラムの内容は。
前田常務理事 機械工学と電子工学を基礎から学べる講義のほか、実習にも注力する。特に半導体分野に関しては、2年次にクリーンルームで実際の半導体製造を体験できる授業を用意する。設備は来年度入学の学生が2年生になる再来年までにそろえる予定。ロケット・人工衛星のような宇宙機、次世代半導体デバイスの研究も行えるようにする。
―どのような人材を輩出するのが狙いですか。
前田常務理事 半導体、宇宙分野に限定せず、広く製造業の技術者を育成したい。当大学の多くの学生は、大学院に進まず卒業とともに就職する。新学科の前身である機械電子創成工学科も昨年度の大学院進学率は27.1%。そのため、基礎的な知識と実際に半導体や宇宙にかかわる体験を得る機会を提供し、メーカーに就職する下地としてもらいたい。
―高校との連携については。
前田常務理事 10月に熊本県立熊本工業高校と連携協定を結んだほか、鹿児島県立国分高校との連携も進んでいる。推薦枠を用意したり、模擬講義を行ったりする。当大学を卒業した後に地元に帰ってメーカーに就職するという進路を想定する。
半導体分野に関しては、大きな製造拠点と見込まれる北海道、東北、九州の高校には新学科の推薦枠を用意している。
―現在の受験生の反応、今後の期待は。
前田常務理事 今年度になってから新設を発表したが、8月のオープンキャンパスではブースに1日当たり5500人も集まった。出願状況も順調だ。宇宙分野、半導体分野に興味を持ってもらうための入り口にしていきたい。