2025.01.01 【家電総合特集】デジタルAV’25展望 ヘッドホン/イヤホン

ヘッドホン/イヤホンは二極化が進むが高級ヘッドホンを求める層も多い

完全ワイヤレスイヤホン主流

高級ヘッドホンが堅調

 ヘッドホン/イヤホン市場は、2025年も堅調に推移しそうだ。この市場は手軽に普段使いする層と音質にこだわる層とで二極化しているが、利用者層の裾野も広いため、いかに高音質な上位機を訴求していくかがポイントになってくる。

 ここ数年は完全ワイヤレスイヤホンも拡大してきた。本格的な高級ヘッドホンを求める層も増えてきているため、メーカー各社は試聴機会を増やしながら提案を強化していく計画だ。

 国内のヘッドホン・イヤホン市場は、コロナ禍で在宅勤務が増えオンライン会議などが一気に普及したことで拡大したが、24年には需要が落ち着きをみせている。電子情報技術産業協会(JEITA)の出荷統計をみると、この数年はステレオヘッドホンの出荷は減少が続いている。量販店などの販売データを調査するGfK/NIQ Japanの24年前半のヘッドホン/ヘッドセットの販売数量も前年比3%減の890万本だった。

 ワイヤ付きイヤホンは減少しているが、半面で完全ワイヤレスイヤホンは同8%増と堅調に推移。完全ワイヤレスイヤホンは5000円以下の価格帯が増えるとともに、3万円以上の高価格帯も拡大した。

 ここ数年でフルワイヤレスイヤホンが主流になり、CDよりも高音質なハイレゾリューション音源への対応も進む。男性だけでなく女性の利用も増えており、音質だけでなくデザイン性を重視したものも増えてきた。

 イヤホンの上位機はノイズキャンセリング機能を搭載したモデルが増え、各社が機能開発でしのぎを削る。外部の音を遮断することで音楽に集中できるようになるため、ノイズキャンセリングの性能で製品を選ぶ人も多い。

 高級ヘッドホン市場も堅調だ。既に高級ヘッドホンを利用している人の買い増しや買い替えだけでなく、若者層でも高級ヘッドホンを購入する人が出てきている。高級ヘッドホンでは、一般的な密閉型ヘッドホンに加え、開放型ヘッドホン(オープンエアヘッドホン)も注目されてきた。参入企業は限られるものの、より原音に忠実な音再生を耳元で実現できる開放型ヘッドホンは25年も注目されそうだ。

 イヤホンでは新たな動きも出てきた。ワイヤレスイヤホンの中で、完全に耳を覆わずに外部の音を聞きながら音楽などを楽しめるオープンイヤー型のイヤホンが伸びてきている。GfK/NIQ Japanの調査でもオープンイヤーイヤホンの販売数が22年比51%増と大きく伸びた。

 ランニングやサイクリングなど、外音に気を付けなればいけないとき、耳を完全にふさがないために安全性が確保できることから注目され始めている。高音質と安全性を両立した製品として、今後も拡大していくとみられる。