2025.01.08 【製造技術総合特集】主要各社の25年戦略 東レエンジニアリング
岩出 社長
人材育成に注力し、事業拡大へ
東レエンジニアリングの2024年度の業績は予算通りに着地する見通しだ。23年度の業績をけん引したリチウムイオン電池(LIB)電極用塗工装置事業の減少をプラント事業がカバーした。
岩出卓社長は「市況自体は曲がり角にある。ポートフォリオの中で強弱のバランスを変えながら、中期経営課題(期間3年)の最終年度(25年度)の目標である事業利益90億円を達成したい」と抱負を述べる。
半導体関連事業では、検査装置や実装装置を手掛ける。光学式ウエハー外観検査装置「インスペクトラ」は海外での販売を強化。23年4月にドイツ・ミュンヘンに子会社を設立し、デモを交えた商談は好調に推移する。電子線式ウエハー検査・計測装置「NGR」は検査速度の向上を進める。露光装置の状態監視手法を確立しており、新市場を開拓していく。次世代の先端パッケージ向け実装装置は堅調に推移。試作ラインでの採用が進む。
一方、LIB電極用塗工装置事業はEV(電気自動車)市場の軟化に伴い、停滞感がある。省エネ、環境配慮のための材料改良に応じて装置を開発する方針だ。
製造体制を再構築し体質強化も図る。岩出社長は「設備を増強して内製化率を高める。社内にモノづくりのベースがないと、技術者が育たない。本当に付加価値の高い加工品は自社で行い、利益率を高める」と説明する。
横浜の拠点は増床した。28年度までに中途採用のエンジニアを100人程度増員する。「エンジニアが戦力となり、事業拡大に貢献するには最低でも2、3年はかかる。当社はヒトが価値を創造する会社。要員を増やさないと、事業は拡大しない」と強調。同社は30年度に売上収益で1700億円の目標を掲げており、人材強化を軸に据える。
「トレンジサポート」は昨年、2回目を開催した。これは、工学系大学院での研究を応援して研究室に寄付金を贈る取り組み。応募してくる大学院の数は増え、認知度の向上を実感している。今後も、次代を担うエンジニアを支援していく。