2025.01.08 【製造技術総合特集】主要各社の25年戦略 大陽日酸

川元 事業部長

米国や欧州で積極的な営業展開

 大陽日酸のイノベーションユニットCSE事業部は、産業ガスで培った技術を起点に、化合物半導体製造装置(MOCVD)など先端分野の事業を展開する。

 川元淳CSE事業部長は「昨年、台湾赴任を終え、現在のイノベーションユニットに異動してから早くも1年が経過した。ようやく自身の足場が固まりつつあることを実感している。新年には、まだお会いできていないお客さまや大学、研究機関の先生方にお会いして、直接の声を拝聴する機会を増やしていきたい」と話す。

 同事業部は売り上げの海外比率を順調に増やしている。「海外で当社の技術や価値が次第に認められてきた結果と受け止めている。そして今後もこの傾向は継続すると思う」(川元事業部長)。また、事業部の人材強化に向けて、通常のキャリア採用に加え、社員が人材を会社に推薦する「リファラル採用」も積極的に活用したいとしている。

 2024年には、米Lit Thinking社からMOCVD装置「SR2000HT-RR」を初受注した。同装置は、UVLEDデバイスの開発に必須の高品質なAlNの成膜製造に用いられる。今後、米国サウスカロライナ大学、米国オハイオ州立大学にもMOCVD装置の納入が続き、欧州でも複数受注へ向けた積極的な営業展開を進めている。「米国や欧州でも近い将来、MOCVD装置、周辺機器、材料ガスをトータルで提供する、日本同様のビジネスモデルを構築したい」(川元事業部長)。

 6/8インチ多数枚対応の量産型MOCVD装置「UR26K-CCD」、および4インチ対応の研究装置「SR4000HT-LV」が現在の主力装置であるが、今後は6~8インチ対応の研究装置なども充実化が必須。

 また、NEDO事業である「大口径Si基板上のGaN成長技術およびデバイス評価技術に関する研究」にも参画しており、低軌道衛星や宇宙ステーションなどに適した化合物半導体太陽電池向けの需要にも応えていく。さらに、酸化ガリウム用MOCVD装置は今後も東京農工大学との共同開発を進める。「今後も中長期で夢のある事業展開に取り組む」(川元事業部長)。