2025.01.21 【半導体/エレクトロニクス商社特集】エレクトロニクス商社 25年の経営戦略 マス商事 大金裕和常務

大金 常務

半導体関連設備の販売本格化

 マス商事は、ヤマハ発動機(ロボティクス事業部)代理店として実装機を中心にSMT(表面実装)に関わる装置を幅広く扱う。海外は中国(蘇州、深圳)、シンガポール、マレーシア、フィリピン、インドネシア、タイ、ベトナム(ハノイ、ホーチミン)、メキシコ、インドに拠点を構え、主に日系企業を対象にビジネスを展開する。

 大金裕和取締役常務兼営業統括本部長は「2024年は厳しい状況が続いた。中国市場の急減速の影響は大きく、EV(電気自動車)関連で日系の車載が苦戦している。その影響が当社のお客さまにも直結していたケースが多かった」と振り返る。

 市況はインド、インドネシアが良好。24年後半からベトナムが回復基調に入った。

 成長著しいインドはエアコン、二輪・四輪など全般的に活況だった。大金常務は「バランスよく、市場全体が再び立ち上がっている印象がある。EMS(電子機器製造受託サービス)企業やメーカーの進出も活発」と説明する。市場の成長を見据え、インドの拠点ではマネジメント層をはじめ、組織体制を強化した。

 インドネシアは二輪がけん引。24年の販売台数は過去最高に近いレベルに達した。ベトナムは二輪・四輪が中心で、パソコン周辺機器が回復し始めた。一方、減速したとはいえ、中国は大きな市場であるのに変わりはなく、一定の投資は進むとみる。

 SMTに加え、パワーデバイスを中心にボンダーなど半導体関連設備の販売を本格化している。取引先は広がっており、新事業領域として強化していく。

 国内では昨年10月、初のプライベート展示会をパシフィコ横浜で開いた。出展企業は約40社で、2日間の会期で想定を上回る約750人が来場し、盛況だった。今後は数年に一度の開催を検討する。

 大金常務は「今までの1拠点での大量生産から、日本を含め、インド、タイ、フィリピンなど各国へ生産シフトし、特定の地域に一気に工場がシフトするのではなく、少しずつ分散されていくのでは」と予測。自社の拠点網を生かして動向を捕捉し、ビジネスにつなげていく。