2025.02.07 ニコンが埼玉に金属3Dプリンター拠点 技術開発と試作サービスなど提供
NAMTCジャパン(出所=ニコン)
アジア地域を広く担当
既に韓国やインドから引き合い
ニコンは金属3Dプリンター関連の技術開発と顧客への試作サービスなどを提供する拠点を、埼玉県行田市に開設する。「ニコン・AM・テクノロジー・センター・ジャパン(NAMTCジャパン)」と称し、2月28日から稼働開始。アジア地域で「航空宇宙を中心にエネルギーや自動車などの業界を対象にする」(同社)とのこと。
金属を積層することで、特殊な部品の生産から傷ついた金型の補修まで行える金属アディティブマニュファクチャリング(付加加工、AM)専門の施設だ。
ニコンは2024年に米国カリフォルニア州ロングビーチに同様の施設NAMTCを立ち上げ、現地の防衛・航空宇宙分野などを対象にサービスを展開しているが、埼玉の新拠点はアジア地域を広く担当する方針。稼働前から顧客の反応があり「日本、韓国、インド、シンガポールなどから引き合いがある」(同社)。欧米企業のアジアにおける製造拠点からの引き合いもあるという。
ニコンが23年に買収したドイツの金属3Dプリンターメーカー、SLMソリューションズ・グループを前身の一つとするニコンSLMソリューションズが強みとしてきた、敷き詰めた金属粉末にレーザーを照射、融解し、積層造形する大型L-PBF方式、そしてニコンが強みとする、金属粉末とレーザーを同時に照射し、溶融、積層造形する高精度DED方式の装置をそれぞれ導入。技術開発はもちろんDfAMと呼ばれるAM設計サービス、造形に関わる技術的問題や製造上の課題に関する解決策の提案、試作、受託加工などを包括的に手掛ける。
具体的な導入設備には金属3Dプリンター「NXG Ⅻ 600」「Lasermeister LM300A」、X線CT検査装置「XT H320」などを挙げる。各種加工、計測器類もそろえる。
AMを含むデジタルマニュファクチャリングはニコンの戦略事業との位置付け。長年培ってきた光応用技術を生かせる分野として力を入れる。