2025.02.09 【開発のキセキ㊦】貝印 自動生クリームホイッパー 「生クリッチ」 目指すは1家に1台

 貝印の自動生クリームホイッパー「生クリッチ」は、2023年12月、応援購入サイト「マクアケ」でプロジェクトを開始した。24年3月に一般発売し、自社を含めたEC(電子商取引)サイトや一部家電量販店、スイーツ通販サイトで販売している。

 生クリッチを発案した、貝印/カイ インダストリーズの研究開発本部研究部兼研究開発本部第二開発部次長の小林甫さんは「コーヒーを入れる感覚で、生クリームの泡立てのハードルを下げたい」とし、「一家に一台あるようにできれば」と語る。生クリーム好きとして、自分で泡立てた生クリームのおいしさを広めたい考えだ。

 開発のメイン担当者として携わった、カイ インダストリーズの研究開発本部研究部マネージャーの臼田雅史さんも「作りたてのホイップ(生クリーム)を食べてもらいたい」と話す。

 一般発売からもうすぐ1年。発売前は、「生クリームはニッチ過ぎて売れないのでは」という声も社内から上がっていたという。「私はニッチとは思っていなかったが、世の中的にはニッチなのだと知った」(小林さん)。

 生クリッチ開発中は、冷蔵庫の中が生クリームでいっぱいになり、大好きな生クリームを嫌いになりかけたという。それほど真剣に生クリームと向き合った結果、生クリッチは生まれた。

 より多くの人に生クリッチの魅力を知ってもらうために、既存の販路ではなく、新しいモノに敏感なユーザーが集まるマーケットとしてマクアケを選んだ。同社にとって初めての試みだった。

 開始3日間で300個が完売し、追加の1000個も2カ月で売り切った。一般発売後もしばらくは「入荷即完売」の状況が続いていたが、現在は安定供給できている。