2025.03.02 「求められる精度は近づいている」 表面実装を半導体に応用 FUJI
半導体領域での事業戦略を語る五十棲社長
電子機器の製造に欠かせない「SMT(表面実装技術)」は、半導体や電子部品をプリント基板(PCB)上に実装、接合する重要な工程だ。その中心となるのが「実装機(マウンター)」であり、半導体の製造にも応用されている。
この分野で高いシェアを誇るのが、実装機メーカーのFUJIだ。同社は半導体分野でも実装機の販売を伸ばしており、2024年の半導体分野向け売り上げは堅調に推移。五十棲丈二社長は「半導体後工程とSMT工程はプロセスの違いはあるものの、求められる精度や要求される技術は近づいてきている。最新パッケージへの評価・認定の引き合いも出始めており、顧客も生産性の効果を見つつ投資を考えてくれている」と語る。
同社の主力製品「NXT-H(ネクストエッチ)」は、ウエハーからのダイレクトピックアップに対応し、トレイ部品やリール部品も1台で対応する。ダイと電子部品の混載実装を実現し、モジュール生産にも適している。SMTと異なり、半導体領域ではウエハーの取り扱いにも経験が求められる。ダイにストレスを与えない荷重装着なども重要だ。多様化するパッケージ技術に対応を目指し、オプション機能の拡充にも注力している。
また、同社はグループ会社のファスフォードテクノロジと連携し、事業拡大を進めている。ファスフォードは半導体後工程向けの高性能ダイボンダーを手掛け、メモリー向けとして高シェアを誇る。ロジックデバイス向け製品も強化しており、23年末には新たな研究開発棟を竣工するなど、製品開発を加速させている。両社の技術交流も活発化させ、人材育成やスキル向上にも生かしている。
FUJIは現在、「Target ZERO」をコンセプトに掲げている。従来からの機械停止ゼロ、実装不良ゼロ、オペレーターゼロに、実装限界ゼロを加えてビジネスを本格化しているところだ。五十棲社長は「半導体後工程はチップレットや2.5D、3D実装など高度化・複雑化している。将来的にはSMTと後工程の融合もあり得る。両分野に対応する技術を有しており、高度な新技術を提供できる」と意欲を示している。
<執筆・構成=半導体ナビ>