2025.05.22 人とくるまのテクノロジー展 2025開幕 AI、DXと自動車が融合 過去最大617社が最新製品など訴求
過去最大規模の617社(1470小間)が出展しにぎわう会場
自動車関連技術の専門展示会「人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA(第32回)」が21日、横浜市西区のパシフィコ横浜で開幕した。主催は自動車技術会(JSAE)。車両メーカーやTier1、部品・材料、計測器など過去最大規模の617社(1470小間)が出展し、自動車技術に関わる最新の製品・ソリューションを披露している。
会場では開催テーマの「Integrate with Future Tech! 新技術との融合で、モビリティの未来へ」に沿って、次世代の自動運転車両やxEV、先進カーエレクトロニクスに関する製品・技術をはじめ、AI(人工知能)やDX(デジタルトランスフォーメーション)とモビリティーとの融合ソリューションなどがアピールされている。
自動車および関連メーカーでは、日本を代表する車両メーカーやTier1メーカーが、最新の電動車両や自動運転車両および関連技術などを訴求している。
トヨタ自動車はサーキュラーエコノミーをテーマとしたさまざまな取り組みを紹介。日産自動車は公道実証実験中の遠隔型自動運転車の実車を展示している。三菱自動車工業はEV(電気自動車)航続距離と加速度を大幅に向上させたPHEV(プラグインハイブリッド)システム「威風堂堂」のカットモデルを出品している。
「幸せな移動」実現
デンソーは、複数のAIを組み合わせたドライブエージェントロボット「くるまのJullie」を活用したドライブ体験デモが人気だ。ドライブパートナーとして乗車するJullieと同じ景色を見ながら会話し共感することで「幸せな移動」を実現する。
アイシン、コンチネンタルなど主要Tier1各社は、自動運転コントロールユニットや先進運転支援ECU、各種電動化ユニットなどの最新技術を提案している。トヨタ車体はGX(グリーントランスフォーメーション)を支える技術を訴求した。
ヤマハ発動機は汎用(はんよう)性の高い自動車用電動駆動ユニット、ハイブリッド航空機用4連結電動モーターをPRするなど、各社が製品・技術、コンセプトを精力的にアピールしている。
パワーモジュールの性能最大化に貢献
電子部品関連では村田製作所は、従来のサーミスターと比較してパワー半導体の温度変化をより早く正確に測定できるパワーモジュール温度検知向け絶縁型NTCサーミスター「FTIシリーズ」を出品し、パワーモジュールの性能最大化への貢献を訴えている。
TDKはADAS対応車載用6軸慣性計測ユニットの最新技術として、フェイルセーフ6軸ASIL定格モノリシックモーショントラッキングIMUを紹介。アルプスアルパインは触覚アクチェーター「ハプティックリアクター」の車載システムへの搭載デモを実施している。
ニチコンはV2Hシステム「EVパワー・ステーション」や外部給電器「パワー・ムーバー」などを展示。日本ケミコンは、国内初となる次世代高速インターフェース「ASA-ML」を搭載した高画素カメラモジュールの展示デモを行っている。
パナソニック インダストリーは、ガルバノスキャニング方式のレーザー溶着機「VL-W1シリーズ」を提案。レーザーを高速多重照射してワーク(加工物)全体を同時に加熱し、溶着不良を低減する。レーザーヘッド自体を動かす必要がないためスカラ(水平多関節)ロボットなどが不要で、装置の設置面積を縮小できる。自動車業界では車両の軽量化のために樹脂の使用が増えており、樹脂溶着で同シリーズの引き合いが増えているという。
一連の作業を1台で
小野測器はポータブル振動計「VW-3100」を世界初公開している。主な用途は製造現場にある回転機器の設備診断、自動車や家電業界のモーターやコンプレッサーなどの生産・検査ラインにおける良否判定など。現場で求められる一連の作業を1台で行えるように設計した。
東陽テクニカは計測機器・ソリューションを展示。自社開発製品にも力を入れており、今回は潤滑油中の粒子を計測する監視システム、オイルの劣化を測定するパッチアナライザーをPRしている。
将来を考える機会に
オープニングセレモニーで、JSAEの中畔邦雄会長は「(人とくるまのテクノロジー展は)1992年に初開催され、以来、自動車技術の最先端が一堂に会する、技術者のためのイベントとして認知され、今年で32年になる。自動運転など、10年前とは比べものにならないほど進化している。共にわれわれの将来を考える機会になれば」とあいさつ。横浜市の佐藤広毅副市長は「自動車技術の今とこれからを感じられる貴重な機会となることを願っている」と述べた。
会期はあす23日まで。