2025.05.22 「エッジからクラウドまで」台湾半導体設計メディアテックがカスタムICで存在感

「COMPUTEX TAIPEI 2025」に展示した「DGX Spark」の本体

カスタムICを使ったAECで高速通信を実現するカスタムICを使ったAECで高速通信を実現する

 台湾の半導体設計企業、Mediatek(メディアテック)は、特定用途向けカスタムIC(集積回路)「ASIC」を手がけ、各業界のニーズに応じてチップを提供している。台北市で開催中のICT見本市「COMPUTEX(コンピュテックス)」でも、米半導体設計エヌビディアと共同開発したスーパーコンピューター(スパコン)用チップや、データセンターの通信に関するソリューションなど、幅広い展示が目立った。

 展示のテーマは「皆のためのAI(人工知能):エッジからクラウドまで」。同社は、エヌビディアによる小型スパコン「DGX Spark」の開発に関して、パートナーシップを締結。スパコンに搭載するモジュール「GB10 Grace Blackwell Superchip」を共同開発した。1000TOPS(毎秒1000兆回)という処理能力を実現する。これにより、最大2000億パラメーターのAIモデルをローカルで実行できる。

 DGX Sparkは世界最小のAIスパコンで、目下はAI開発者をはじめエンジニアへの展開を模索している。ブース担当者は「市場の見通しはまだ読めない」としていたが、ゆくゆくは「卓上スパコン」としてより広く普及させていきたいという狙いが透けて見える。

 メディアテックは、データセンターでの通信を高速で電力損失を抑えながら行うためのソリューションも手がける。ケーブル内部に信号処理ICを組み込むAEC(アクティブ・エレクトリカル・ケーブル)だ。

 背景には、データセンターに求められる通信速度が急速に進化している現状がある。速度は20Gbps(ギガビット毎秒)から224Gbpsに到達し、将来的には448Gbpsに向かうと予測されている。AECを用いたソリューションは、同社の今後の製品ポートフォリオに加わる予定だ。