2025.05.23 外付けハードでスマート・ファクトリー推進 台湾のプロバイダー、九州の半導体製造自動化も視野

インタビューに応じた王氏。左には工場自動化に関する展示が並ぶ

自動化ソリューションは日本語にも対応(画面上部参照)自動化ソリューションは日本語にも対応(画面上部参照)

 工場の自動化に向けたシステムの統合ソリューションを提供する台湾企業が、半導体製造拠点の増強が進む日本に熱い視線を送っている。古い設備に外付けのハードウエアを通して自動化を実現する方法で、各種展示会でもアピールしている。

 その企業は、アコーダンス・システムズ(聯剛科技)という。工場などで使う産業用パソコン向けストレージの制御技術として、複数のHDD(ハードディスクドライブ)を1つのストレージに見立てる「RAID(レイド)」の開発・販売を祖業とする。現在、この技術を生かし、スマート・ファクトリー向けにさまざまな自動化機能を備えたハードウエアやソリューションも提供している。

 部品の数やIDの管理に加えて、現場のモニターや繰り返しの作業を自動化できる。外付けのハードウエアとしても提供するため、ソフトウエアをインストールする必要がなく、古い設備にも対応できるようにした。

 台北市で開催中の「COMPUTEX(コンピュテックス)」のブースでインタビューに応じた同社の王柔嘉氏は、こうした実績をベースに新しい設備に製品を展開できる強みも強調。「(自社製品を加えることで)自由なオートメーションを実現できる」と自信をのぞかせた。台湾大手電子機器メーカーのデルタ電子はこうした優位性を評価し、アコーダンス・システムズへの資本投資を発表したとみられる。

 生産を自動化するソリューションは、半導体製造工場への展開で実績を持ち、クリーンルームの作業を遠隔で行う際に威力を発揮する。同社は幅広い製造工程に対応しており、半導体工場が集積する台湾のみならず、製造後工程の重要地域である東南アジアにも拠点を設けている。

 近年、半導体製造拠点の強化を進める日本への市場展開にも意欲を示す。王氏によると「10月に開催される九州半導体産業展にも出展する予定だ」という。TSMC(台湾積体電路製造)の進出により半導体産業が活発化する九州でのスマート・ファクトリーの進展には、同社が一翼を担うかもしれない。