2025.06.26 【複合機ソリューション特集】複合機メーカーの環境への取り組み

環境性能を競う複合機

再生複合機が相次ぎ発売

カーボンオフセットサービスも

 複合機メーカー各社は環境を切り口にした戦略を強化している。各社は、部品のリユース率を高めた再生複合機を相次いで発売。CO₂排出ゼロに向けた企業の環境への取り組みを支援するため、カーボンオフセットサービスの提供も開始している。

 リコーは、部品リユース率などを大幅に高めたA3カラー再生複合機「RICOH IM C4500F CE」「同 IM C3000F CE」を国内で発売。順次海外展開する。リコーデジタルプロダクツビジネスユニットの成海淳WP事業本部事業本部長は「リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへ転換していく」と、環境型モノづくりへの転換を強調する。

 こうした戦略の一環として「CE(サーキュラーエコノミー)」を機種の名称に使用し、環境循環型複合機として販売を強化している。同商品は、AGV(無人搬送車)やロボットなど、再使用部品の選別、再生、検査を効率的に行う技術を活用し、質量比で従来機の部品リユース率81%を上回る平均86%を実現した。

 また、原材料調達、生産工程、輸送、使用、廃棄・リサイクルから成るライフサイクル全体の環境負荷を、新造機と比べて約59%削減している。複合機の内蔵ソフトウエアをバージョンアップすることで、機器に新しい機能をネットワーク経由で追加できる仕組みを、再生機として初めて採用した。

 富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)は、「(グループのCSR計画である)Sustainable Value Plan2030の下、事業活動を通じた社会課題の解決、環境・社会への配慮により、持続的な社会の実現に向け貢献」(奥村雄二郎サステナビリティ推進部部長)を目指している。

 ドイツの国際的な第三者検査機関テュフ ラインランドから日本企業で初めての「グリーンプロダクトマーク」を取得。国際的な評価機関EcoVadisのゴールド評価も獲得している。

 再生複合機として業界最多となる12機種をラインアップ。部品リユース率は最大84%(重量比)を実現した。早くから循環型システム「クローズド・ループ・システム」を構築し、資源循環を促進している。

 キヤノンは、部品のリユース率を約95%まで高めた再生複合機を投入している。回収した複合機の稼働年数や故障履歴、プリント枚数などの稼働データに基づいて、部品の再使用の可否などを自動判定することで実現した。

 さらに、2025年に発売する複合機やプリンターの新製品の一部から、再生鉄(電炉鋼板)の採用をスタート。回収した複合機からの鉄スクラップの純度を高め、複合機での採用を可能にした。同社は、複合機に占める再生材料の比率を30年には50%に高める方針だ。

 セイコーエプソンは「エプソンのスマートチャージ」戦略を展開。インクジェット方式の特徴である低消費電力などにより環境負荷低減を実現するラインインクジェット複合機に注力している。また、乾式オフィス製紙機の新型PaperLabによる紙資源循環スキームに自治体と取り組んでいる。

 リコーや富士フイルムBIがカーボンオフセットサービスを提供しているが、エプソン販売もエプソンのスマートチャージでサービスを開始した。