2025.12.09 パナソニック EW社、国内外で電材事業拡大 インド売上高は倍増の2000億円へ
「空間価値を高めるソリューション提案をはじめ国内外で電材事業の飛躍を目指す」と語る大瀧社長
パナソニック エレクトリックワークス(EW)社の大瀧清社長は、2日開催の「パナソニックグループIR Day 2025」で、今後の電材事業の成長と変革をテーマに国内・海外事業の拡大戦略を説明した。
国内の電設市場では新築着工が減少する一方で、エネルギーマネジメントやウェルビーイング(心身の健康と幸福)に関わる高価値市場が拡大すると分析し、「国内電材事業のソリューション販売比率を2030年には50%に引き上げる」(大瀧社長)考えだ。
また海外事業では、成長著しいインドをけん引役と位置付けて売上高の拡大と市場ポジションの獲得を狙い、30年度には「海外販売比率35%、このうちインドの売り上げは現状から倍増の2000億円に高める」(大瀧社長)とする。
国内市場では市場ニーズの高度化を受けて、建物が生涯を通じて生み出す価値の総額「建物ライフタイムバリュー(LTV)」に貢献していく。
「顧客と繋がり続け、建物のステージごとに最適なソリューション・経済合理性・資産価値最適化・そしてウェルビーイングを提供していくことで、建物の価値を向上させる」(大瀧社長)考えだ。
建物の竣工(しゅんこう)前では、ウェルビーイングやエネルギーマネジメントを軸とした高価値提案中心のセット販売を強化するほか、竣工以降のステージにはエンジニアリングや保守メンテナンス・サービスに力を入れ、データの利活用で最適化したソリューションを展開する。
これらの戦略を支えるのが、商品のコネクティッド化で、設備の稼働状況、電力使用量やオフィス環境の温熱快適性、二酸化炭素(CO2)濃度の見える化などを行い、それらのデータを活用し、省人化・資産価値向上につなげる。
このほか、スポーツエンタメ分野では、10月に開業したトヨタアリーナ東京へLED投光器やライブ映像制作のプラットフォーム「KAIROS(ケイロス)」が採用されるなど、着実な実績を高めている。
インド市場を成長のけん引役に
海外成長戦略の中核となるインド事業での成長エンジンの一つが市販電材の強靭化(きょうじんか)だ。現状1位の配線器具シェアをさらに引き上げ、クロスセルを拡大するとともに、配線器具販売網での次の柱としてライティングを育成し、商材を拡充させる。
競合となるナショナルメーカーが強い南部地域の営業体制も強化し、さらにシェアを伸ばす。
また、「件名提案の強化に取り組む。川上の設計者へ提案できる商材の幅を広げるとともに、当社の顧客基盤である地方の主要テベロッパーとの連携を強化し、市場獲得を目指す」(大瀧社長)方針だ。
件名提案では、マンションや病院、オフィスなどと多岐にわたり、著名なテベロッパーのプロジェクトへは、配線器具や分電盤、システム商材などの採用が進んでいる。
スタジアムの案件も含め、一段の事業拡大を目指す。「件名案件でのプレゼンス拡大と強固な販路を両輪としたマーケティングをこれから強化していく」(大瀧社長)と話す。合わせて「戦略を加速させるため、M&A(合併・買収)や少額出資も積極的に検討していく」考えだ。
25年度通期では、公表数値である調整後営業利益830億円、営業利益率7.6%を達成し、30年度に向けさらなる成長を目指す。







