2025.07.08 【家電総合特集】オーディオ 需要喚起へ試聴体験の場増加 アナログレコードにも注目

Hi-FIオーディオは試聴機会を増やすことが重要だとメーカー各社は口をそろえる(写真はOTOTEN)

 国内のHi-Fiオーディオ市場はオーディオ愛好家らの下支えはあるものの2025年は足元までは苦戦が続いている。物価高や消費マインドの落ち込みなども影響しているため、オーディオ各社は需要を喚起するためのオーディオイベントや試聴イベントにも力を入れている。後半に向けても試聴体験の場を増やすことに力を入れていく考えだ。

 24年の国内オーディオ関連機器市場は、前年同期比7.9%減の651億円だった(電子情報技術産業協会)。出荷台数ベースでもシステムオーディオ、アンプ、スピーカーシステムともに前年割れだった。25年も足元までは数量、金額ともに前年を下回っており、各社は後半戦に向けて需要を掘り起こしたい考えだ。

 昨今のオーディオ市場は、多様化する音源への対応が求められ、これまでのCDやSACD(スーパーオーディオCD)といった記録メディアに加え、アナログレコード、インターネット経由でのストリーミングまで幅広くなってきている。CDよりも高音質なハイレゾリューション(ハイレゾ)音源も増えており、手軽に高音質な音を楽しめる環境はできつつある。

 さらにハイレゾの拡大とともに注目されているのがアナログレコードだ。CDなどとは違い原音に忠実な音の再現ができるアナログレコードの市場は拡大してきている。アナログレコードは、カッティングにより音が変わることからオーディオ愛好家の間ではレコード選びも楽しみの一つになっている。

 オーディオ各社もアナログレコード再生を軸にしたシステム開発を進め、アンプの開発もアナログを意識したものも増えてきている。

 Hi-Fiオーディオとともに注目されているのはヘッドホン市場だ。スマートフォンで音楽を聴くのが当たり前になる中、ヘッドホンの提案も進む。各社は高級ヘッドホンやアンプを発売し、高級ヘッドホンを求める層も拡大している。

 オーディオ各社が口にするのは「実際に聴いてもらうことだ」という。試聴会などでいかに体験してもらうかがカギになる。

 ヘッドホンではフジヤエービック主催の「ヘッドフォン祭」は毎回多くのヘッドホンマニアが来場し、着実にファン層が増えている。

 6月末には日本オーディオ協会が主催するオーディオとホームシアターのイベント「OTOTEN」が開催された。人気Vチューバーとのコラボ企画などを行いHi-Fiオーディオからホームシアター、ヘッドホン、カーオーディオまで実演し、若者層を中心に良い音に触れる機会をつくった。

 秋にはHi-Fiオーディオに特化した「インターナショナルオーディオショウ」も予定されている。後半戦に向けても良い音を聴くきっかけになる試聴イベントを増やし、ファン層をつかみたいところだ。