2025.10.02 「高性能を味わって」 工科大、エヌビディア製GPU搭載スパコン「青嵐」公開

DGX B200はGPU製品を8基搭載しており、青嵐には計96基搭載されている

初宿市長(左)と香川学長(右)初宿市長(左)と香川学長(右)

 東京工科大学は米エヌビディア製GPU(画像処理半導体)を搭載したスーパーコンピューター「青嵐(SEIRAN)」を構築し、2日に公開した。同大はAI(人工知能)人材の育成を推進しており、今回「私立大学最速」とうたわれる性能のスパコンを実現した。同大と八王子市とのAI・DX(デジタル・トランスフォーメーション)技術に関する連携協定の締結式も併せて実施された。

 「(青嵐の)高性能を味わってもらいたい」。発表会で同大の香川豊学長はこう語った。

 青嵐には、エヌビディア製サーバープラットフォーム「DGX B200」を12台搭載。同社最新のBlackwell世代のGPU「B200」によって動作する。生成AIに特化した設計で、学習理論性能で0.9EFLOPS(1秒間に90京回の計算)を実現するという。

 同学は「AI UNIVERSITY」を方針に掲げ、AIを教育に活用する取り組みを進めてきた。青嵐により、学生が自由にスパコンを使える環境を整備する。研究での利用も計画し、独自の大規模言語モデル( LLM)構築などを目指す。

 体制としても、23年6月に「デジタルツインセンター」、今年4月に「AIテクノロジーセンター」を設置。学生のAI活用をサポートしていく。 

 八王子市との連携協定締結式も、同日に行われた。高齢化や人手不足の進む地域農業の持続などの地域課題の解決や、人材育成を通じた地域貢献につなげるのが狙い。青嵐は工科大での研究・教育目的での利用が中心となるが、官学連携への展開も予定する。

 初宿和夫市長は「スパコンと行政課題を掛け合わせて何ができるかを、市役所側は問われている。結果を出さなければならない」と意気込んだ。