2025.12.05 富士通と仏Scaleway、CPUベースAIで欧州に「グリーンかつ主権重視」の新基盤を投入へ

 富士通と、仏のクラウドプロバイダーScalewayは、欧州のAI(人工知能)インフラ整備で戦略的協業に関する覚書を締結した。富士通が開発したArmベースの次世代プロセッサ「FUJITSU-MONAKA」を活用したCPU(中央演算処理装置)ベースのAI推論基盤を欧州市場に導入することで合意した。

 従来のGPU(画像処理半導体)中心の構成に加え、AI推論のために省電力で高効率な選択肢を提供するのが狙い。FUJITSU-MONAKAは、最先端の2nmプロセス技術と独自のマイクロアーキテクチャ、3Dパッケージ構造、超低電圧回路動作技術などを採用し、AI をはじめ多様なワークロードで高いアプリケーション性能と電力効率の両立を目指す。

 生成 AI の急速な普及に伴い、データセンターの消費電力増加が世界的な社会課題となる中、欧州では、性能・エネルギー効率・データ主権の三要素を兼ね備えたインフラへの需要が高まっており、CPUベースの構造設計は、安定した性能と電力効率、既存環境への統合のしやすさから期待されている。

 両社は 2026年下期から共同で実証に着手し、結果を踏まえて27年以降にパイロット環境の構築やサービス提供を検討する。将来的には、欧州市場向けにCPUベースの新しいAI推論サービスの商用化も視野に入れているという。

 富士通は、自社の高性能プロセッサ開発のノウハウと、Scalewayの欧州クラウドインフラ運営の知見を融合させ、電力効率、信頼性、安全性を兼ね備えたサステナブルなAI利活用環境の構築を目指す。