2025.12.10 パナソニック コネクト、新型フルデジタル溶接機投入 高い溶接品質と簡単操作を実現
フルデジタルCO2/MAG溶接機「YD-350NR1」
パナソニック コネクトは、アークの追従性向上による高い溶接性能と、初心者でも簡単に操作でき、新素材・新工法へ対応しやすいフルデジタルCO₂/MAG溶接機「YD-350NR1」を12日に発売する。
次世代フルデジタル溶接機「N」シリーズは、アークの追従性向上、全電流領域で安定した溶接を実現し、溶接電流120A/160Aの場合、スパッタ(鉄粉の火花)発生量を現行サイリスタ機との比較で81%低減し、溶接品質の低下を抑える。200Aの場合でも38%低減する。鉄骨、建機、自動車、造船など業種を問わず、厚板・薄板の幅広い溶接現場での利用が可能。
スパッタが多く母材(鉄)に落ちることで錆(さび)など傷みを生じることで、後工程(車体塗装など)への悪影響が懸念される現場には、スパッタ発生量の低減は大きな効果がある。低スパッタ機能はオプションで対応する。
CO₂溶接の場合、溶接電流波形を「マルチモードリアクトル」によるフルソフトウエア制御にすることで、アークの追従性をさらに向上させた。
これにより、スパッタの発生量を低減するとともに、ウィービングや突出し長さが変化した場合でも素早くアークを安定させ、高品質な溶接を実現する。
加えて、幅広い電流域の溶接電流波形をコントロールすることが可能となり、低電流域から高電流域まで幅広く高品質な溶接が実現できる。
熟練工の高齢化や、人手不足に対応した機能も充実させ、簡単操作を実現させた。同社ベストセラー機の操作性を継承した直感的な使いやすさと初心者もサポートする板厚指令と「溶接ナビ」「溶接コンシェルジュ機能」を搭載する。
直感的な操作による使いやすさでは、現行機同様に手袋でも操作しやすい「物理ボタン」に加え、新たに3.5インチの液晶ディスプレーを搭載した。
直感的な操作ができるユーザーインターフェース(UI)とわかりやすい情報表示により、溶接機の操作や条件設定の操作性と視認性を格段に高めている。
経験が浅い人や初心者にも安心なサポート機能も充実。溶接作業の推奨条件を自動選択する溶接ナビは、溶接継手などの情報がイラストで表示されることで作業者は実際の作業をイメージしながら簡単に設定でき、溶接条件出しの時間を短縮できる。
溶接コンシェルジュは、現場の作業状況や作業者の課題を液晶表示に従って入力していくことで、経験や専門知識が必要な溶接パラメーター調整をわかりやすくサポートする。
省エネルギーや二酸化炭素(CO₂)削減にも貢献する。最先端のインバーター制御技術により、現行サイリスタ機と比べCO₂排出量を最大22%削減し、省エネに貢献する。
設計面では、冷却ファンを脱着することが可能。天板や側板を取り外しやすいケース構造に一新し、メンテナンス性が飛躍的に向上している。
USBで溶接特性やソフトウエアを追加で機能拡張できるポートを完備。1台の溶接機で新素材・新工法への対応力が向上する。
モノづくりの現場で必要な「溶接」は、昨今のテクノロジーの急激な発展に伴い進化するモノづくりに合わせ、溶接工法も変化。従来とは異なる素材・工法で生産する機会も増え、常に新しい溶接技術が求められている。
製品の信頼性確保や生産ロスを削減するため、高品質な溶接と生産効率の両立が必要になっている。同時に、溶接技能者は少子高齢化で減少、「3K」のイメージなどで新たな担い手も不足し、溶接技術で重要な要素である勘・コツ・経験の習得・継承が課題となっている。
加えて、モノづくりの現場ではカーボンニュートラルなどに向けた迅速な開発・製造が競争力の源泉となっており、サステナブルなモノづくりへの対応が不可欠となっている。
同社溶接プロセス事業部の大塚隆史事業部長は「当社は、1957年の溶接事業展開以来68年間にわたって、日本初のフルデジタル溶接機を発売するなど、業界をリードしてきた。作り方・作るモノ・作るヒトの変化に合わせ、(溶接)現場の最適解となるYD-350NR1の提案に力を入れたい」と話す。
高品質な溶接の実現と使いやすさ、サステナブルな新世代溶接機の投入で、国内でトップクラスのシェアを誇る溶接機の事業を加速。現行機販売台数の1.5倍の販売を目指す方針だ。










