2026.02.05 電波・赤外線の検知かわす衛星通信アンテナ JDIと米カイメタ、防衛用に開発

(出所=JDI、カイメタ)

 ジャパンディスプレイ(JDI)は、衛星通信機器の米Kymeta(カイメタ)が手掛ける次世代アンテナに、ガラス基板を開発・供給する契約を結んだ。人工の微細構造によって電磁波などを制御する素材、メタマテリアルを採用する。JDIが薄型ディスプレイ向けに培ってきた技術を他分野に応用する。アンテナ開発は既に進行中で、2026年上期に製品デモ、27年にグローバル販売が始まる見込み。複数の周波数帯で同時に動作し、電波や赤外線による検知を受けにくい特性を備え、防衛用途を見込む。

 カイメタが手掛けるのは、マイクロ波のうち衛星通信によく用い安定性に優れたKu帯と、より周波数が高く大容量通信に優れたKa帯で同時動作が可能なマルチバンド・メタサーフェスアンテナ。利用する周波数帯や衛星軌道の違いを意識せず通信できるという。

 メタサーフェスはメタマテリアルの一種で微細構造を成り立たせる要素、メタ原子(メタアトム)を平面に配置したものを指し、JDIは以前から研究開発に取り組んできた。同社は今回、カイメタの次世代アンテナに用いるガラス基板の開発と量産供給に関するマスターサプライ契約(MSA)を締結。JDIの薄膜トランジスター(TFT)による高精度フラットパネル製造、量産技術を生かし、高速のビーム切り替え、小型軽量化と低消費電力、低コスト化のほか、電波や赤外線による検知を受けにくい特性を実現できるという。

 カイメタは今回の契約を、技術開発段階から本格的製品開発、量産へ移行する転換点と位置付ける。次世代製品の初号機は防衛向けに投入する。米宇宙軍(USSF)から複数周波数帯、複数軌道の衛星に対応した通信システムの要求があったという。

 商用にも段階的に拡大する計画。将来はドローンや自律型システムなどで高い信頼性や低消費電力、低コストが必要な用途を想定する。