2026.02.16 系統蓄電所におけるサイバーセキュリティー監視ソリューションの有効性を検証 パナソニックHD、伊藤忠商事など

実証実験の概要 

 パナソニック ホールディングス(HD)とパナソニック ソリューションテクノロジー(PSTC)は、伊藤忠商事と連携し、国内の系統蓄電所の実運用を想定した、サイバーセキュリティー監視の実証実験を開始する。

 系統蓄電所を対象に実運用を想定した環境下でサイバーセキュリティー監視の実証を行う取り組みは、世界でも初めて。

 実証実験では、国内の系統蓄電所の実運用を想定した環境にサイバーセキュリティー監視ソリューションを導入し、系統蓄電所を対象としたサイバーセキュリティー監視の有効性を検証する。

 実運用を想定した環境の設備における通信や挙動を継続的に監視することで、異常の早期検知や状況把握が可能か評価する。

 また、実際の商用環境への導入・運用面での課題や留意点を整理し、今後の系統蓄電所への適用拡大に向けた知見の獲得を目指す。

 実験では、パナソニックHDとPSTCが開発した、既知のサイバー攻撃を検知するシグネチャー検知と、電力制御通信に特化した攻撃検知を組み合わせたサイバーセキュリティー監視ソリューションを、国内の系統蓄電所の実運用を想定した環境に設置・導入する。

 通常の監視のみでは、実証期間中に十分な検知機会を確保することが難しいことから、実験では能動的な疑似攻撃実験を実施し、短期間で集中的な評価を行う。

 施設内部のネットワークに直接接続し、不正なデバイス接続や制御パラメーターの改ざんなど、内部起点の異常挙動を疑似的に発生させるオンサイト実験と、施設情報を活用し、外部からの不正アクセスや高度な攻撃手法を想定したシミュレーションを行うオフサイト実験を実施する。

 これらの疑似攻撃を通じて得られたデータを基に、サイバーセキュリティー監視ソリューションの検知性能と運用面での有効性を総合的に評価する。

 セキュリティー上の配慮から、実証実験を実施している施設の所在地や詳細仕様については非公表とする。

 今後、3社は実証実験を通じて得られた知見を生かし、系統蓄電所をはじめとする社会インフラ分野でサイバーセキュリティー対策の強化を図っていく。実証実験の成果は、業界ガイドラインや各種基準への対応にも活用していく。

 近年、脱炭素化の要請から再生可能エネルギーの導入が加速し、その変動性に対応するため発電・送配電・需要家設備の高度化と広範なネットワーク接続が進んでいる。

 これにより運用効率と柔軟性は向上する一方、分散型電源や制御システムの接続点が増えたことで攻撃面が拡大し、重要インフラを標的としたサイバー攻撃のリスクが顕在化・増大している。

 実際に、国内外の太陽光発電所では、外部からの不正侵入が確認されたほか、踏み台攻撃、運用障害につながる事象が報告されている。

 従来のファイアウオールなどによる境界防御型のセキュリティー対策だけでは、内部ネットワークへの侵入や、正規端末を装った巧妙な攻撃への対応が困難となるケースが増えているという。

 通信や制御の挙動そのものを継続的に監視し、異常を早期に検知し対処するなど多層的な防御が一層重要となる。

 今回対象となる系統蓄電所は、充放電制御や出力調整など、太陽光発電所と比較して制御可能な機能が多く、サイバー攻撃に悪用された場合には、単一施設の事業被害にとどまらず、電力需給バランスの乱れや配電系統への影響など、より広範な社会インフラへの影響を及ぼす可能性がある。

 このため、特に系統蓄電所のサイバーセキュリティー対策には従来以上に高い信頼性と実効性が求められている。