2026.07.11 政府、「AI基本計画」改定案を決定 技術革新を反映 領域特化型の開発を推進 

人工知能戦略本部の会合に臨む高市早苗首相(右から2人目)=10日(出所:首相官邸のホームページより)

 政府は、人工知能(AI)政策の指針となる「AI基本計画」の改定案を決めた。急速に進む技術革新に対応するため、昨年12月に初めて策定した基本計画を約半年で見直した。案では、AIを前提に意思決定や業務の進め方を根底から見直す「AIトランスフォーメーション(AX)」を推進する方針を掲げ、特定領域に特化した「バーティカルAI」の開発などを重点施策に位置付けた。

 AIの開発や活用を巡る環境が大きく変化し、自ら計画を立てタスクを実行する「エージェント型AI」の存在感が高まっている。一方で、AIがシステムの脆弱性を発見し、自律的にサイバー攻撃を仕掛けるリスクへの懸念が増している。こうした状況を踏まえて政府は第1期の基本計画を改め 10日に首相官邸で開いた「人工知能戦略本部」の会合に第2期の基本計画案を示した。

 本部長の高市早苗首相は会合での議論を踏まえ、AXを推進する方針を表明。「領域別に戦略を策定の上、官民での集中投資を実施し、将来的なフィジカルAIの開発・活用につながるバーティカルAIの開発・実装を強力に推進する」との考えも示した。基本計画案は、近く閣議決定する。

 バーティカルAIは、特定の業界や業務に特化してデータやAIモデルなどを統合したシステムで、産業や行政の現場で使える。日本の強みである「現場の力」との相性が良く、新たな価値創出や海外展開も期待されている。この領域特化型AIの開発を通じて蓄積されたデータは、機械や装置を制御するフィジカルAIの開発にも役立つとされる。

 案では、エージェント型AIが国力に直結する存在となる中、計算資源や電力から政策まで含めた「AI実装能力」を強化する必要性も強調。その上で、バーティカルAIとフィジカルAIに「AI戦略の重点を置く」と明記した。

 高性能AIの登場など複雑化・深刻化するAIのリスクに向き合い、「責任あるアジャイル・ガバナンス」に能動的に取り組む必要性も強調。AI法を含めた制度を見直す方針も盛り込んだ。加えて、高性能AIを積極的に活用し、脆弱性の発見や修正の高速化にも取り組む。

製造や創薬など19の重点領域を設定

 また政府は、会合に「バーティカルAI領域別戦略」の中間取りまとめも示した。「市場性」「公共性」「戦略性」という三つの観点から19の重点支援領域を定め、領域ごとに目指す姿や2030年に向けた施策を整理した。製造や創薬、教育、警察など幅広い分野を対象とし、官民のリソースを集中的に投資することで効果の最大化を狙う。