2026.09.15 シャープ、AIサーバー事業参入 30年度で売上高2500億円へ

左から河村社長、宇徳統括部長

シャープが受注を開始したAIサーバー「NVIDIA RTX Proサーバー」シャープが受注を開始したAIサーバー「NVIDIA RTX Proサーバー」

 シャープは15日、生成AI(人工知能)普及で拡大するAIインフラ需要に対応するため、AIサーバー事業に参入したと発表した。2027年度からの販売に向けて、企業や自治体、データセンター事業者などを対象にAIサーバーの受注を開始。30年度で売上高約2500億円を目指す。

 AIの社会実装を背景に、計算基盤である日本のAIサーバー市場が拡大している。同社は、日本のAIサーバー市場は25年度の約9000億円から35年度には約7兆円に成長すると予想する。年平均伸長率(CAGR)は22.7%と高い成長性を見込む。

 成長をけん引するのは、学習用途だけでなく、学習済みのAIモデルに質問やデータを入力して回答の生成や予測・判断を行わせる「推論用途」の拡大のほか、フィジカルAI時代の到来、データやAI基盤を自ら管理・運用できるソブリンAIソブリンAIなどを挙げた。スマートビジネスソリューション事業本部AIサーバー事業統括部の宇徳浩二統括部長は「AIの利用が広がるほど、推論の処理量と必要なAIサーバーが継続的に積み上がっていく。この需要を押し上げるのがフィジカルAIで、普及によって接続機器やデータ量、推論回数が同時に増加する。AIサーバー需要は大きく拡大していく」と述べた。

 データ主権(ソブリンAI)に対する意識向上や工場ラインの画像検査などで求められる「低遅延(リアルタイム性)」、都市部の電力受電容量の制約により、AI基盤の活用がクラウドだけではなくなった。自社設備内にサーバーを置く「オンプレミス」や「エッジ」を組み合わせたハイブリッド環境へ移行し、国内の一般企業や自治体におけるサーバー導入が進み始めている。

 シャープが受注を開始したAIサーバー「NVIDIA RTX Proサーバー」は、高性能GPU(画像処理半導体)「NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Server Edition」を最大8基搭載できる4Uのラック型サーバー。空冷方式を採用し、既存のデータセンターや企業設備に導入しやすい構成にした。推論性能は32PFLOPS(ペタフロップス)。

 27年度には、大規模な学習や推論、データセンター向けに提供するAIサーバー「NVIDIA HGXシステム」の受注も開始予定。現場のエッジ推論環境から大規模インフラまで、顧客の用途と規模に応じた製品ラインアップを順次拡充していく。

鴻海やパートナー企業と連携

 同社はAIサーバーの展開に当たり、販売体制や導入後の運用・保守体制の整備を進める。販売代理店のダイワボウ情報システムやリョーサン菱洋との協業について、それぞれ基本合意を締結。運用・保守を手がけるトゥモロー・ネット(東京都品川区)とも連携して保守サポートを提供する。

 製造は親会社で​ある台湾・鴻海精密工業が担う。シャープは国内で品質確認を行い、自社ブランドで販売する。国内での製造拠点は亀山工場(三重県亀山市)を候補の一つとした。

 河村哲治社長執行役員CEO(最高経営責任者)は「AIサーバー事業への挑戦は、一つの新規事業としてだけではなく、当社の変革に向けた重要な取り組みになる可能性がある。今回AIサーバーの販売からスタートするが、その先にはAIサーバー事業と既存事業を融合した新たな価値創造に挑戦し、シャープ全体の進化へとつなげることを目指している」と展望した。