2026.10.11 NTTドコモビジネスと日本IBM、AIエージェント時代のガバナンス確立へ協業
AIが企業の境界を越えて働き、価値をつなぐ必要性を説いたNTTドコモビジネス執行役員の福田亜希子氏=東京都港区
NTTドコモビジネスと日本IBMは、人工知能(AI)を法令や社内規程に沿って適切に管理・運用する「AIガバナンス」の領域で、協業を開始すると発表した。両社はAIエージェントの利用状況を把握し、継続的に管理・監査できる仕組みの確立に向けて検討。企業が安心してAIを活用できる環境の実現を目指す。
生成AIは近年、利用者の指示に応じて回答する段階から、自律的に判断・実行するAIエージェントへと進化し、業務に組み込む動きが広がりつつある。一方で、AIによる誤った判断や想定外の利用による情報流出など、新たなリスクへの対応が求められている。
そこで両社は、AIエージェント時代を見据えた協業の基本合意書を締結した。NTTドコモビジネスは、企業が安全にデータとAIを活用する環境を支えてきた。一方、日本IBMはAIガバナンスやAIリスク管理などの分野でグローバルな知見を蓄積しており、それぞれの強みを生かして協業を推進していく。
基本合意に基づき両社は、AIガバナンスを実現するアーキテクチャーや活用モデルの検討を進める。加えて、両社が持つ技術・サービスの適用領域についても協議する。その成果を踏まえ、将来的な事業化を見据えた推進体制の構築を進め、企業のAI活用の高度化を後押しする。
AIに任せる業務の拡大へ、新構想始動
AIエージェントを巡る企業の対応を見ると、重要な業務まで広げる取り組みは途上にある。課題は、どのAIエージェントが誰の委任を受け、どこまでの権限で動いているのかを把握できない点や、価値あるデータほどAIエージェントに使わせにくい点だ。
NTTドコモビジネスは、これらを踏まえ、AIエージェントを安心して活用できる環境を実現する「Trusted Data Fabric」構想を始動することも発表した。
同構想では、AIの判断と行動を統制する「Trusted AI」、AIの身元などを管理する「Trusted Identity」、機微なデータを守りながら使う「Trusted Data Access」という三つの柱を据えた。これらを組み合わせ、AIに任せられる業務の範囲と活用できるデータの拡大を目指す。必要な機能は、2027年度までに段階的に用意する計画だ。
同社執行役員でビジネスソリューション本部ソーシャルイノベーション部長の福田亜希子氏は東京都内で開いた説明会で、「AIが企業の境界を越えて働き、価値をつなぐことが重要だ」と強調した。展開先としては、ビルを越えてつながる快適で安全な都市づくりのほか、データの連携による診断・治療の高度化などを挙げた。
日本IBMは、AI活用に伴うリスクを可視化し一元的に管理するソリューション「watsonx.governance」などを提供している。同社は今回の協業でこうした取り組みで培ったノウハウを提供し、同構想の中でもTrusted AI領域に協力する。同社の理事でデータ・プラットフォーム事業部長の佐藤隆子氏は「日本の企業が安心してAIエージェントを活用できる環境をいち早く実現したい」と意欲を示した。











