2020.07.03 【ルームエアコン特集】買い替え・買い増し獲得へ在宅で室内空気質に関心

外出を控え在宅時間が増える中、エアコンによる快適空間の実現が熱中症対策にも効果的だ

 新型コロナウイルス感染症の拡大で、今年はルームエアコン商戦が異例の展開となった。いよいよ夏本番を迎え、今後の商戦展開が気になるところだ。このところ夏場の酷暑が定着していることから、熱中症対策としてエアコンは必要不可欠の商品だ。とりわけ第2波の感染拡大も懸念される中、自宅で長い時間を過ごす人も増えそうで、室内空気質の快適さ、清潔さへの関心も高く、買い替え、買い増し需要をしっかり獲得することが重要だ。

 ルームエアコンは、夏本番の天候次第で状況が変わるといえ、これから商戦のピークを迎える。長期予報でも暑い夏が予測される中、熱中症対策の観点からも買い替え提案が重要となる。

 今年は、新型コロナ感染症の拡大でエアコン商戦の段取りに狂いが生じ、緊急事態宣言が出されたことで、なかなか点検訪問活動にも取り組めない、異例の状況が続いた。

 ただ、販売店では、できる限りの工夫を凝らし、チラシ配布などで顧客との接点を減らしながら、早期のエアコン試運転を呼びかけるなど、早い段階からエアコンの買い替え啓発に取り組んだ。

 地道な活動に取り組んだことで、新型コロナが猛威を振るう中でも、比較的早い時期に買い替えを図るユーザーもいた。

 今年の場合は、在宅時間が増えることで、かえって室内の空気質への関心は高まることになり、エアコン商戦にプラスの効果をもたらす面もあった。

 清潔さ、快適さを求めて最新のエアコンに買い替える、今までリビングだけだったが個室にも増設する、といったユーザーも多くいたようだ。

 自粛緩和となって以降は、販売店頭にも客足が戻り、エアコン商戦はより活発となっている。直近では6月に入って前年を大幅に上回るペースで推移しており、商戦は加速している。

 日本冷凍空調工業会によると、エアコン市場は、19年度は957万3000台(前年比97.5%)となり、5年ぶりのマイナスとなったものの、過去最高を記録した18年度(981万5000台)に次ぐ出荷数量と高水準だった。今年度も昨年度並み程度の需要が予測されている。

 このところ、夏場の酷暑が定着していることから、熱中症対策のためにルームエアコンは必需品となっている。

 今年は特に、新型コロナ感染症の拡大による外出自粛で2-4月はエアコン販売が苦戦し、エアコン点検活動も減ったことから、試運転によって夏場しっかり動くかの見極めが重要だった。

試運転呼びかけ

 こうした状況を受け、今年は経済産業省でも夏季を迎える前のエアコン試運転を呼びかけるなど、異例の対応が取られた。

 既に一昨年、猛暑・酷暑に見舞われて夏場にエアコン商戦が集中し、設置工事が間に合わない状況が生じており、その二の舞を防ぐためにも早期の点検を呼びかけた。

 今年は長期予報でも気温が平年よりも高いということで、猛暑到来により店頭に顧客が集中すれば密になる懸念もある。買い替えが必要なユーザーには、早期の購入提案が重要となる。

 また〝新しい日常〟においては、外出を控えることが引き続き求められている。ダイキン工業が、熱中症に関する調査を実施したところ、過去に熱中症を経験した人の34%が「室内で」と回答している。

 在宅における室内の快適さがより重要となっており、エアコン提案の前倒しは例年になく重要となっている。

換気の重要性を見直し フィルタ清掃も推奨

上手なエアコンの使い方

 新型コロナで在宅の機会が増える中、室内の清潔性への関心も高まり、換気の重要性が見直されている。

 ダイキン工業によると、ほとんどのエアコンが換気できないことを「知らなかった」と答えたユーザーが約6割に上るという。

 緊急事態宣言解除後でも家で換気する人は約9割いる(同社調べ)ことから、夏場にエアコンと換気をどう上手に使いこなすかも重要なテーマとなっている。

 同社の調査では、エアコン運転中の部屋で窓を開けて換気する場合、つけっ放しと一時停止する人の割合はほぼ同率だった。同社によると1時間に5-10分程度の換気なら、エアコンはつけっ放しの方が省エネだとする。電源を入れたときにエアコンは最も電力を使うからだ。

 換気をするとき、気になることのトップ3の一つが「エアコンの電気代」(23.6%)だが、エアコンの節電に効果があるフィルタ掃除は「1年以上していない」と答えた人が約18%いて、エアコン本格稼働の前に、フィルタ清掃をしっかり訴求することも重要なアドバイスとなる。同社では2週間に1度のフィルタ清掃を推奨している。