2020.07.17 【半導体/エレクトロニクス商社特集】飯田通商ASEAN地域強化

山﨑 社長

 飯田通商は、18年6月の山﨑隆博社長就任後、国内はもとより海外では特に中国、ASEAN地域の販売網拡大、強化に取り組んでいる。

 一昨年、国内は長野県上田、昨年、中国では香港、深圳、上海、成都に加え広州に営業拠点を新設。ASEANではシンガポール、タイ4拠点、フィリピン、マレーシア(クアラルンプール)に加えペナンとジョホール、ベトナムはホーチミンに新設。今年度は中国・大連に、来年度はハノイに拠点を設ける。

 山﨑社長は「海外にも当社の企業理念や社風を理解し、20年以上勤務する社員が在籍し、責任ある立場に抜擢している。ホーチミンでも優秀な人材が確保できた」と述べる。

 ベトナムはヒロセ電機、ロームなどの大手仕入れ先、各社と協業し、ローカル顧客を攻めている。来年度はハノイに2拠点目を設け日系大手顧客の密着化を図る。また、今後予想されるスマートフォンの現地生産に伴う部品需要を見据え、両拠点でベトナム全域をカバーする体制構築の準備を進める。

 タイの販売拠点としてロイヤル・ダッチ・シェルの工業用オイルでタイ最大の代理店になっているIIDA-SEVEN SUNSがあり、タイ国内4拠点の機能を拡大し電子部品を加えた販売体制を整え、日系企業や政府系プロジェクトへの相乗効果が図れている。

 各拠点が倉庫と自前の物流を保有、タイ全土をカバーし、仕入先とのタイアップで効果的なビジネスを展開中。また、顧客製品を幅広い販売チャネルに載せるなど、既存販売製品にこだわらない新規商材を開拓して仕入れ先、取引先それぞれを有機的につなぐビジネスモデルも創出している。

 EMS事業を中国(東莞)、タイ、ミャンマーで行っている。ミャンマー工場は従業員500人の規模。カメラ用部品の組み立てや、PCを使った画像加工、データ入力ビジネスを行っている。山﨑社長は「21年にかけて1千人の体制に拡大する計画で、機動性を生かしたコンテナ型の工場を増設。電気のインフラが良くなれば実装も行う。ミャンマー工場は今後の当社を担う拠点として拡大したい」と述べる。

 新規商材開拓も強化している。海外系デバイスは、トランスフォーム社のGaNデバイスが産業機器市場への重点拡販に加えて新たな商権獲得も進み、売上げを拡大している。また、アンビック社の超低消費電力マイコンは、ウエアラブル機器へ採用が増えている。