2020.07.21 【家電総合特集】冷蔵庫 買い替え需要が顕在化、巣ごもりで大容量化が加速

食材の大量保存や新鮮保存に優れた冷蔵庫は巣ごもり需要の拡大で関心が高まる

 冷蔵庫は共働き世帯の増加を背景に、まとめ買い需要に対応すべく、大容量冷蔵庫の需要が伸びている。

 新型コロナ感染症拡大で、冷蔵庫にもあらためて注目が集まり、夏商戦を迎えて買い替え需要の顕在化に期待がかかる。

 冷蔵庫は、消費税増税前の駆け込み需要後の反動減の影響も受けたが、大きな落ち込みはなく、買い替え需要が顕在化している。

 外出自粛期間が終わって、店頭にも客足が戻る中で、冷蔵庫の商戦は活発化している。20年度も買い替え需要を中心に堅調な推移を見込めそうだ。

 メーカー各社では、冷凍・冷蔵性能の進化や省エネ・収納性など使い勝手、デザイン、IoT対応など総合的な商品進化を図り、付加価値の高い商品戦略を強化し、需要喚起に力を入れる。

 冷蔵庫の需要は、このところ年間400万台程度の安定した需要があり、いかに顧客ニーズに対応した特徴、機能で差別化を図るかが、商品戦略のポイントとなっている。

 巣ごもり需要の拡大は、冷蔵庫にとっても大きな追い風になっている。まとめ買いによる食材の大量保存へのニーズが高まっているためだ。

 保存した食材の鮮度保持も、ユーザーにとっては大きな関心だ。これまで、冷蔵庫各社が共働き世帯の増加を背景に開発してきた機能、特徴が、巣ごもり需要にも十分対応できるものとなっている。

 冷蔵庫の買い替え需要を顕在化させる商品的な切り口の一つは、大容量かつコンパクトだ。

 大容量化については401リットル以上の大型冷蔵庫の構成比は着実に高まり、501リットル以上へのシフトも進んでいる。501リットル以上の超大型冷蔵庫の構成比は、現状では約2割程度まで高まっている。10年前と比べ501リットル以上の超大型冷蔵庫の需要は倍増している。

 大容量化の背景には、冷凍食品の買い置きや総菜の作り置きなど収納する食材が格段に増えたことがある。

 共働き世帯の増加によって、食品のまとめ買い需要が増えていること、また内食・中食など家食の増加で、収納する食材に加えて調味料、飲料も多様化していることなどが背景に挙げられる。

 各社、大容量化とともに、冷蔵技術はもちろん業務用レベルの技術を盛り込むなど冷凍技術の進化にも力を入れている。

 冷蔵庫は今後、進化した冷凍・冷蔵技術による食材の保存庫としての役割のほか、家電のIoT化の流れに合わせ、新たな役割を担うことも期待できる。

 既にスマートフォンで冷蔵庫の設定(庫内温度など)や運転状況の確認、レシピ提案、役立ち情報の提供、ほかの家電機器との連携など、新しい使い方の提案も始まっている。

 パナソニック、シャープ、日立グローバルライフソリューションズなどは、IoTに対応した冷蔵庫を製品化しており、新たな需要を模索しつつある。

 ハードの進化・使い勝手の向上にとどまらず、例えば宅配サービス事業者との連携により、足らない食材を検知して補充するといったサービスとの連携による新たなソリューション提供も考えられる。キッチン家電の中核家電として、今後ますます存在感を高める可能性がある。