2020.07.21 【家電総合特集】炊飯器おいしさの追求に磨き

炊飯器はおいしさを極めるべく内釜や炊飯方式に工夫を凝らす

 炊飯器は、内食の拡大やおいしさ志向に支えられ、IHジャー炊飯器を中心に、炊き上がりのおいしさを極めた高級タイプの商品が好評だ。内食化の中で、主食の米をいかにおいしく炊き上げるか、各社炊飯技術の粋を集めて、市場に臨んでいる。

 炊飯器メーカー各社がおいしさを追求する中で、近年開発を強化するのは、鉄・ステンレス・土・炭素材料など様々な素材を用いた内釜の開発や、より高火力で炊ける新炊飯方式の開発だ。

 パナソニックの「Wおどり炊き」や象印マホービンの「炎舞炊き」、タイガー魔法瓶の「土鍋ご泡火炊き」など、各社自慢の炊飯技術を商品のネーミングに採用し〝炊き方〟競争は活発だ。

 もとより米に直接熱を伝える内釜の開発にも力を入れているが、これに加えて〝炊き方〟にこだわった開発が加速している。

 日本人にとって、ご飯のおいしさの原点は〝かまど炊き〟だ。これに迫るおいしさで、内釜やIHヒーターの改良、最適な炊飯プログラム開発など、各社各様の切り口で付加価値の高い商品戦略に力を入れている。

 ブランド米への関心が高まる中、銘柄ごとに最適に炊き分ける機能も向上。最近では高齢者世帯や少人数世帯に対応し、レギュラー(5・5合)サイズより少ない4合炊きサイズをプレミアムゾーンに投入するなど、使い勝手を考えて容量サイズの新しい提案も行われている。

 また、レギュラーサイズでも、0・5合や1合などの小容量をおいしく炊き上げる機能開発にも力が入る。少人数世帯の増加や高齢者世帯において、一度に多く炊く必要がないユーザーに好評を得ている。

 3合炊きの小容量ゾーンでは、レギュラーサイズに採用する炊飯機能を搭載させるなど、付加価値の高い商品ラインアップが増えている。

 こうして市場の幅広いニーズに対応できる高機能タイプの商品陣容が整ってきている。

 合わせて、共働き世帯の増加を背景に家事省力化、時短ニーズが拡大する中、おいしく炊ける「時短炊飯」を提案するなど、幅広い市場ニーズに対応する機能開発が進んでいる。

 さらには内食ニーズの拡大に対応して、「調理メニュー」搭載の炊飯器のラインアップを強化するメーカーもある。炊飯と同時におかず調理ができる機能は、まさに時短ニーズに対応した商品戦略と言える。

 炊飯器の市場規模は年間を通して安定しているが、IH式、圧力IH式の構成比が高まっており、市場全体では7割強をIH式が占めている。

 炊飯器市場では、一時は活発だったインバウンド需要が一段落しており、各社が狙うのは、国内の本物志向のユーザーだ。今期に入り、各社はよりおいしさにこだわった商品開発を加速することになりそうだ。