2020.07.27 FUJIがロボット事業を強化へ米のAIスタートアップに出資

小型多関節ロボット「SmartWing」

 FUJIは、ロボット事業を強化している。

 主力の実装機事業を「ロボットソリューション事業」に位置付け、ロボットをプラットフォーム化してスマートファクトリーの幅広い需要に対応する戦略でロボット事業の拡大に取り組む。小型多関節ロボット「SmartWing」も開発、製品化し、他企業との協業によるアプリケーション開発なども推進する。

 ロボットの機能向上、適応範囲拡大に向け知能化を図っている。その一環として、新たに米国現地法人フジアメリカ(イリノイ州)を通じ、米国のAI(人工知能)触覚ロボット技術のスタートアップRIOS(カリフォルニア州、18年設立)に出資した。

 RIOSは触感だけでなく圧力や温度など多様なセンシング部とAIを活用した知能部を一体化し、コンパクトなモジュールとして提供する技術を持つ。同技術をロボットハンドに採用することで、最適な把持だけでなく、滑り検出、表面形状やテクスチャの検出が可能になるなど、ロボット搬送に限らず様々な用途に展開できる可能性がある。

 FUJIは17年、シリコンバレーに「FUJI Innovation Lab」を設立。社内外の技術やアイデアを融合するオープンイノベーションとして、他社との連携を進めてきた。

 小型多関節ロボットSmartWingは、座標補正技術とビジョンデータの活用により、従来のロボットで必要だった現物合わせでのティーチングが不要になり、立ち上げに要する時間を大幅に短縮した。

 標準で搭載するカメラシステムは、キャリブレーションなどカメラを使うために必要な設定を済ませた状態で出荷。面倒だったカメラ設定がいらず、設置後すぐに使える。ナット&ワッシャ配線、ねじ締め、ねじ配線、パッキング、バラ部品整列、部品仕分け、チューブ挿入などの作業の自動化に適する。

 協業により、SmartWingにスリーブはんだ付け装置を組み合わせた「デジタルポイントはんだ付け装置」なども提案していく。

 介護施設などで高齢者・障がい者の移乗を支援する移乗サポートロボット「Hug」を16年に製品化しており、昨年10月に新モデル「Hug T1-02」の受注を始めた。Hug T1-02は人が立ち上がるときの軌跡を表現し、残った脚力を最大限に活用。抱え上げ動作をロボットがサポートし、介護者の負担を軽減する。