2020.07.30 【電子部品技術総合特集】デジタルシフト加速コロナ禍で5G市場など拡大ペース進む

 新型コロナウイルス感染拡大は、エレクトロニクス市場や自動車市場に大きな影響を与えている。中でも自動車市場では、人々の移動制限や消費意欲減退で、国内外の新車販売が低迷し、車載用電子部品需要も低水準の推移が続いている。

 一方で、今回のコロナ禍をきっかけに、社会や人々の行動様式などに関わる様々な価値観が変化し、「ニューノーマルの時代」が到来するとの予測がなされている。感染症リスクを低減するためのリモートワーク拡大や自動化・省人化の追求は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を加速させ、IT・エレクトロニクス分野を中心に、イノベーションの速度を中長期的に早めるとの見方が少なくない。

 電波新聞社では、主要電子部品メーカーを対象に、「今回のコロナ禍が各製品分野に与える影響をどう考えているか」に関するアンケート調査を実施した。それによると、今後の電子部品需要をけん引していくことが期待されている先進分野に関して、多くの企業から、「市場拡大ペースを一時的には減速させるが、中長期では加速させる」という回答が得られた。

 項目別では、「5G(第5世代移動通信システム)」では、(今回のコロナ禍が)「市場拡大ペースを加速させる」と答えた企業が23社中8社と約3割に上った。「一時的には減速させるが、中長期では加速させる」の8社を合わせると、計16社と全体の約7割を占める。

 人手不足対策や働き方改革の一環としても市場拡大が見込まれている「スマートファクトリー関連」や「ロボット市場」についても、コロナ禍が「市場拡大ペースを加速させる」との回答がそれぞれ22社中7社と3割強を占め、「一時的に減速させるが、中長期では加速させる」を合わせると、「スマートファクトリー関連」は17社と全体の8割弱、「ロボット市場」は18社で全体の8割強を占めた。

 「自動運転関連」や「車のEV化」に関しては、一時的にはコロナ禍が市場拡大ペースを遅らせるとの見方が強いものの、「中長期では加速させる」との回答が、自動運転関連で10社、EV化でも7社に達した。