2020.07.30 【電子部品技術総合特集】ニチコン古矢勝彦執行役員NECST事業本部技師長

古矢 執行役員

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開発効率向上など4本柱で新たな社会対応

 ニチコンは、▽開発効率の向上▽価値創造に▽品質重視▽人材育成を加えた研究開発4本柱で新たな社会に対応した新製品、ソリューション提案に力を入れる。

 古矢勝彦執行役員NECST事業本部技師長は「新型コロナウイルス感染拡大の中で、パラダイムシフトが起こってくる。サイバー空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合させたSociety5.0の新たな社会の実現や、接続可能な開発目標SDGsへの取り組みが欠かせないわけだが、当社が20年以上前から掲げている経営理念そのものであるため、経営理念に沿ったこれまでの取り組みを強力に推し進めていく。研究開発4本柱で社会、顧客ニーズを的確に捉え、業界に先駆けて価値を生み出す技術、製品、ソリューションを提供することが重要だ」と説明する。

 今年、NECSTプロジェクト発足から10年を迎える回路・電源応用機器のNECST事業本部は、家庭用蓄電システム、V2Hシステムに代表されるハードとソフトのマッチングと、それらのシミュレーション技術が重要とみて、産官学の連携を強める。

 特に産学は技術の共同開発や技術経営(MOT)で15年連携している立命館大学をはじめ、4年前に包括提携してアルミ電解コンデンサの素材、NECST製品のネットワークの開発や、技術者派遣による人材育成に取り組む東京大学、アルミ電解コンデンサの電解液を共同開発する三重大学などとの連携を強化。電源用SiCモジュールは京都大学、大阪大学との共同開発に注力する。電力会社とのバーチャルパワープラント(VPP)の実証実験や自治体の災害対策用の分散電源の製品開発にも力を入れている。電力自由化で新たに取り組めることが増え、サブスクリプションのビジネスモデル開発、導入にも取り組んでいく。

 コンデンサでも注力分野の自動車、成長分野の5G基地局、サーバー電源などの高い要求に対応するためコンデンサ事業本部に技術統括部を設け、コンデンサの研究開発を統括する。素材から製品まで一気通貫で開発できる体制を整え、4本柱の実践につなげている。アルミ電解コンデンサは大野第三工場技術センター、フィルムコンデンサは草津工場、小型リチウムイオン電池は大野第二工場技術開発部門、NECST製品は亀岡工場で研究開発体制を強化している。