2020.07.30 【電子部品技術総合特集】自動運転車向けセンサーの動向ソリッドステート式LiDERなど開発が活発化

東芝のソリッドステート式LiDARによるデモ画像

 自動運転の実現に向けたセンサーの技術開発が進展している。電子部品メーカーは、高度な自動運転技術を支える高画素車載カメラやミリ波レーダー、LiDAR(ライダー)などの車載センシングデバイスに照準を合わせた技術開発を加速させる。これら自動車周辺検知用デバイスに加え、レベル3以上の自動車運転車で必須とされるドライバー生体モニタリングシステム向けの部品開発なども進んでいる。

 自動運転の実現には、様々なセンサーデバイスの搭載が必要だ。特に、走行中に車の周辺情報を高精度に認識するためのセンサーは、近距離検知、中距離検知、長距離検知などの目的に合わせて、様々な種類のものが多数搭載されることになる。

 このため、電子部品メーカー各社では、高度な自動運転技術を支えるミリ波レーダーをはじめLiDAR、車載カメラ、超音波センサーなどに照準を合わせた次世代技術開発を加速させている。

 レベル3以上の自動運転車で不可欠とされるLiDARは、既存の機械式LiDARと比較して、小型で壊れにくく、コスト面でも優位なソリッドステート式LiDARの開発が活発化する。

 LiDARは、レーザー光を物体に反射させ、戻ってくるまでの時間を計測して距離を測る技術。従来のLiDAR開発では、レーザーと検出器を回転させて観測する機械式が主流だったが、小型化や軽量化が難しくコストも高いという課題があった。

 そのため現在は半導体技術や光学技術で機構部を置き換えるソリッドステート式の開発が盛んになっている。機械式と比べてソリッドステート式は長距離測定や解像度に課題があったが、これらの課題を解決するための技術開発が進んだ。

 ミリ波レーダーでは、従来の76ギガヘルツ帯ミリ波レーダーや24ギガヘルツ帯準ミリ波レーダーに加えて、79ギガヘルツ帯ミリ波レーダーの研究開発が活発だ。

 79ギガヘルツ帯レーダーは、周波数帯域幅が4ギガヘルツと広く、分解能が高い。従来は難しかった歩行者や自転車などの検知に威力を発揮する。

 車載カメラは、自動運転技術の高度化に伴い、従来のバックモニターなどに使用されていた「撮る(見る)」機能から、「測る(センシングする)」機能へと進化し、高画素化と伝送速度向上のためのデジタル伝送化が進展している。

 最近の車載カメラは、従来の30万画素から1メガピクセルへの移行が進む。今後さらに、2メガ/3メガピクセルへと移行する見通しだ。

 車載用カメラには、トンネルなど明暗差が大きい場所での撮影や、月あかりなど微小な光の下でも被写体を明るく照らし出すために高度な光学技術が要求される。

 このほか、レベル3以上の自動走行車では、走行中のドライバーの体調などを車自体が把握して自動運転モードと手動モードの切り替えを随時行う必要がある。

 これらに対応するためのドライバー生体情報センシングデバイスなどの開発にも力が注がれている。