2020.08.31 マス商事、中国、東南アの海外ビジネス拡大新型コロナ禍からの本格回復に向け準備

大金 MD

 実装機を中心とした製造装置商社・マス商事は、海外ビジネスを拡大している。新型コロナ禍から立ち上がりつつある中国・東南アジア市場で、社内体制を強化しつつ本格回復に向けた準備を整えている。

 同社は、ヤマハ発動機(ロボティクス事業部)代理店として実装機を中心にプリント基板検査装置、クリームはんだ印刷機など表面実装ラインに関わる装置を幅広く扱う。はんだ付け装置(リフロー装置)など、ヤマハ以外の取り扱い製品も多い。

 国内のほか、海外に展開する日系企業向けのビジネスに対応して中国(蘇州、深圳)、シンガポール、マレーシア、フィリピン、インドネシア、タイ、ベトナム(ハノイ、ホーチミン)、メキシコ、インドに合計11の営業拠点を構えている。

 海外拠点はマストレーディングシンガポール(シンガポール)をヘッドとして、傘下に各営業拠点を組織している。

 海外営業全般を担当するマストレーディングシンガポール・大金裕和MD(Managing Director、タイ駐在)は「新型コロナ感染拡大によるロックダウンを経て、中国に続いて東南アジアも徐々に設備需要が戻りつつある。国によって差はあるが、例えばタイの日系企業の工場は操業が7、8割まで戻ってきている。実装機関連の需要も中国がほぼ回復し、ベトナム、マレーシアも動きが良くなってきた。タイでは日系のエアコンなど白物家電の生産も行われているが、設備需要が回復してきた」と最近の市況を語る。

 米中貿易摩擦の影響が表面化して以降、中国のリスク回避やBCP(事業継続計画)から、生産拠点を東南アジアに移す動きが活発になり、日系企業も例外ではない。

 大金MDは「中長期的にも東南アジアへのシフトは進むのではないか。シフトに伴う需要をしっかり取り込みたい」と話す。

 人件費高騰や新型コロナによる人との接触を避けるためにも、生産自動化への関心が高まっている。

 大金MDは「中国は自動化のニーズが高い。それに比べると東南アジアはこれからだが、最近は実装機の導入に合わせてプリント基板検査装置も同時に導入するなど、自動化への関心は確実に高まっている。中には実装ラインのネットワークによるスマート化を検討するところもある」と言う。

 同社はここ2年、中国・東南アジアでも各拠点単位で顧客を対象にしたプライベートセミナーを開催してきた。タイでも前回はバンコクのザ パラッツォ ホテルを会場にして開き、現地日系企業から約100人の参加があった。

 大金MDは「今は新型コロナで開催できないが、実装機関連の展示会も中止になっていることから、顧客から情報収集の場としてセミナー開催の要望も多く、新型コロナの状況を見ながら来年は開催したい」と言う。

 新型コロナ禍からの本格的な市況回復に備えて、サービスなど社内の体制を整えている。

 大金MDは「リモート営業が中心の今は、社内的にもコミュニケーションが図りやすいタイミングにある。中国・東南アジアは実装機ビジネスのポテンシャルが大きく、新型コロナ禍から立ち上がれば実装機需要も拡大するだろう。今はその時期への準備を進めたい」と話している。