2020.08.31 スプリングクランプ方式に注目 主要各社、電磁開閉器など製品拡充

三菱電機のスプリングクランプ端子仕様配線用遮断器NF32-SVF

富士電機機器制御のスプリング端子機器「F-QuiQ」富士電機機器制御のスプリング端子機器「F-QuiQ」

 ねじに代えてばね状の接点で配線を挟み込む

 配電・制御機器の接続方式に、ねじに代えてばね状の接点で配線を挟み込む「スプリングクランプ方式(スプリング端子方式)」が注目され、主要各社は同方式を採用した製品を拡充している。

 配電・制御盤内の接続方式として、かつては単線を「U」字型に曲げ、ねじに巻き付けて締める方式だった。その後、圧着端子(丸型またはY型)とねじ締めを組み合わせる方式が普及し、現在も主流になっている。

 しかし、ねじは振動で緩みが発生するため定期的な確認や増し締めが不可欠で、保守作業は業界の大きな負担にもなっている。その後、スプリングクランプ方式が登場し、電設業界など市場から注目を集めている。

 同方式は、ねじに代えてばね状の接点で配線を挟み込むため①振動や長期使用による、ねじの緩みの心配がない(信頼性)②電線を挿入するだけで配線作業が完了する(作業性)③定期的な増し締め不要(メンテナンス性)などの特徴がある。

 単線・より線・フェルール線をワンプッシュで端子台に押し込むだけで結線ができ、素線接続の場合は圧着作業が不要のため、さらに経済的で作業性に優れる。

 配電・制御機器各社は、スプリングクランプ方式を採用した製品を拡充している。

 三菱電機は、スプリングクランプ端子仕様のFA・配線機器「EZ Connection」のラインアップを拡充している。これまで電磁接触器「MS-Tシリーズ」のT12/T20フレームと、電磁継電器T5フレームで展開してきたが、新たにノーヒューズ遮断器・漏電遮断器/サーキットプロテクタ、電磁接触器、電磁継電器などの製品も拡充した。

 富士電機の子会社である富士電機機器制御は、制御盤の配線工数削減を実現するスプリング端子機器を「F-QuiQ(エフ・クイック)」シリーズとして製品を拡充している。同社のスプリング端子機器は、独自設計の板ばねにより、従来のねじ端子と同等の強固な電線保持力を実現している。国内で初めて主回路機器へスプリング端子を適用し、主力製品である電磁接触器・電磁開閉器や、配線用遮断器などの主回路機器6機種、約3500機種をスプリング端子化した。

 ねじを用いた配線が主流になっている既存市場に向けてスプリング端子機器により、電磁開閉器や配線用遮断器など同社器具製品における新たな市場を開拓する。

 IDECは、スプリング端子の採用によりワンタッチで取り付けが可能で、省工数・省スペース・耐振動を実現するプッシュイン接続方式を採用したコントロールユニット、リレーソケット、レール式端子台など製品のラインアップを拡充している。

 レール式端子台「Klippon Connect Push-in式 Aシリーズ」では、配線工数を従来の約55%削減する。さらに約50%の省スペース化を実現した大容量形端子台「A2C 35」をラインアップに追加した。