2020.09.11 【中部産業特集】中部圏の景況感、製造・非製造業とも改善ICパッケージ基板など需要増

 中部経済連合会は9月3日、中部圏の景況感の現状(7-9月期)と見通し(1-3月期まで)を発表した。調査時期は7月27日から8月21日まで、法人会員237社が回答した。

 それによると、7-9月期の中部圏の景況判断(「良い-悪い」社数構成比)は、8期ぶりに改善し、マイナス61・7(前期4-6月比プラス20・9ポイント)となった。

 項目別では、業績判断、設備投資計画判断、機械設備水準判断のいずれもが改善した。製造業は6期ぶり、非製造業は7期ぶりに改善した。

 景況判断の先行きについては、足下の新型コロナウイルスの感染動向に左右される傾向は変わらないものの、国内外の経済活動の再開や生産の回復などから、来期以降の景況感は改善するものと見られている。

 新型コロナウイルスへの対策については、事業活動の継続に向けて「在宅勤務・テレワークの継続」の実施もしくは検討が多い。労務管理における対策では「在宅勤務・テレワークの導入」や「時短勤務の拡大・導入」など勤務体系に関する取り組みが上位を占めた。

 経営上の課題については①販売数量の伸び悩み②IoTやAIの活用③技能者不足④販売単価低迷⑤熟練者高齢化が上位5位を占めた。製造業では、設備老朽化も指摘されている。

 業種別の企業の声では、輸送機械は、4-6月期は販売、生産ともにリーマンショックをしのぐ厳しさがあったが、同期を底に7月以降は回復傾向にある。

 自動車部品は、新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより、非常に厳しい状況が続いている。一方、研究開発費は火をともし続けなければならない分野であり、大幅な一律カットは考えていない。

 電気機械では、PC市場はテレワーク需要の高まりやICTの進展に伴うデータ処理量の増加により、データセンターで利用されるサーバー向けのICパッケージ基板の需要が拡大している。

 工作機械は、今後の明るい兆しとして、中国での需要に緩やかな持ち直しの動きが見られる。

 9月7日に会見した中経連の水野明久会長(中部電力相談役)は「新型コロナ禍以降の社会経済の構造変化を見据え、AIやIoTなどのデジタル技術やビッグデータを活用し、製品やビジネスモデルの変革や、新しい価値を創造する、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していく」と語った。