2020.10.15 【次世代オーディオ/セキュリティ関連部品技術特集】次世代オーディオ部品とセキュリティ関連部品 技術も機能も一層高度化

オーディオ用途に適したチップ型アルミ電解コンデンサ

車室内の前後で別々の音場を作る「ゾーンサウンド」のデモ(アルプスアルパイン)車室内の前後で別々の音場を作る「ゾーンサウンド」のデモ(アルプスアルパイン)

 オーディオ・映像機器の高音質化や、スマートスピーカ(AIスピーカ)などの音声入力機器市場の拡大、ストリーミング配信の普及、モバイル端末のハイエンド化、車載映像音響システムの高音質化などを背景に、オーディオデバイス技術が高度化している。近年はハイレゾリューションオーディオ(ハイレゾ)化でデバイス技術の高度化が加速。電子部品・デバイス各社は、高音質要求に向け、音響・音声関連デバイスの技術開発を活発化させている。また、本格的なデジタル化社会の到来により、DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するためのセキュリティ技術の重要性も増しており、強固なセキュリティを達成するための回路技術の高度化に向けたデバイス開発も活発化している。

次世代オーディオ用部品技術

 電子部品・デバイスメーカーでは、次世代機器が求める高音質ニーズに照準を合わせ、スピーカやマイクロホン、ブザー、サウンダ、オーディオ用LSI、D/AコンバータIC、アルミ電解コンデンサ、音声入力用リモコンなどの各種オーディオ関連デバイスの技術開発に力を注いでいる。

 デジタル機器では、ハイレゾ化により、従来の約3倍以上の大量のデータを処理する必要がある。アナログ機器でも従来の2倍の帯域で音声の質を保ちながら処理する必要がある。このため、高速・広帯域対応のプロセッサやメモリー、コンバータなどの適用が拡大している。

 スマートスピーカの高機能化に照準を合わせた音響部品やセンサー、無線通信デバイスなどの提案にも力が注がれる。

オーディオ用コンデンサ

 ハイレゾをはじめとする機器の高音質化に対応したオーディオ用アルミ電解コンデンサの開発が進んでいる。最近は高密度実装化も進み、リード線型からチップ型への切り替えも進展。これらのニーズに対応するため、電解箔や電解紙、電解液などの主要部材の見直しや、電解紙密度や厚みの最適化などを図ることで、ワンランク上の音質を実現するチップアルミ電解コンデンサの開発が進んでいる。

車載オーディオ用部品 

 車載オーディオも高品質化の追求が進み、搭載部品にも高音質化対応が求められる。車室内の音響性能向上のため、車1台当たりに搭載されるスピーカ数も高級車を中心に増加しており、同時に快適な車室内空間確保も要求される。こうしたニーズに対応し、薄型形状かつ広角度での音質劣化が少なく、取り付け場所を選ばない車載用レイアウトフリースピーカの開発が進んでいる。完全自動運転車での需要創出が予測される車載専用ヘッドホン開発も進む。

セキュリティ関連部品技術

 デジタル化社会の進展とともにセキュリティの重要性が高まっている。IoTの活用拡大に伴い、より強固なセキュリティを実現するためデバイスレベルでも暗号化を図るなどの動きが進んでいる。ホストシステムから物理的・論理的に分離した回路設計により、デバイス内に格納された鍵情報や暗号化情報を確実に保護するセキュアデバイスの開発も進む。

 今後、リアルタイム性が要求される産業機器分野や自動運転分野では、エッジコンピューティングの活用拡大も不可欠。エッジ側で収集したデータをクラウド側に送る際、安全かつ簡単にクラウドに接続できるよう、デバイス側でセキュアに処理できる回路を埋め込むなどの対策が始まっており、これらのセキュリティ技術に対応するデバイス開発が活発化している。