2020.10.19 東証のシステム障害、原因はマニュアル不備「再発防止策検討協議会」を設置

 東京証券取引所は19日、東証で1日に発生したシステム障害で全銘柄の株式売買が終日停止した問題について、マニュアルの不備が原因と判明したと発表した。取引再開時のルール整備などシステム運用面の課題も明らかとなった。これらを踏まえ、証券会社など幅広い市場参加者と「再発防止策検討協議会」を設置し、3月末をメドに議論をまとめる。

 事態の引き金となったのは、富士通が開発した株式売買システム「アローヘッド」。東証によると、銘柄情報などのファイルを格納する共有ディスク装置が二つある。1号機でメモリー故障が発生。故障に備えて2号機を用意しているが、その予備機に自動的に切り替わらなかった。

 東証が、納入先の富士通と調べた結果、メモリー故障などに起因する特定事象の発生時に自動的に切り替わらない製品仕様であることが分かった。マニュアルの不備により、正しい仕様が把握できなかったという。

 富士通は通常、初期の設定時でマニュアル通りに動作するかをテストで確かめ出荷している。今回、システムで設定した値が初期設定値でなかったため、出荷時に机上で仕様を確かめたものの、テストが行われていなかったという。

 富士通も同日、システム障害の原因と対策について発表。再発防止に向けてシステムの再点検を実施するほか、製品の品質保証体制を全社的に強化する方針を示した。