2020.10.21 CEATEC キーノートスピーチ村井純・慶応義塾大学教授
パンデミックを経たインターネット文明
COVID-19で生活は劇的に変化した。仕事やオンライン授業など「自宅ですべてが完結」という生活は、2040年ごろの実現が予想された未来の姿だった。
日本のIT政策の始まりは2000年施行の「IT基本法」の施行とIT総合戦略本部の設置から。基本法とそれを実行する仕組みのセットで進められた。
COVID-19を経た今やるべきことは、20年ぶりにIT基本法を作る(改定する)ことと「デジタル庁」のような実行する組織を作ることだ。
日本のIT政策には、ブロードバンド・アクセス構築やアナログ地上波放送の停波などの成功例がある一方、行政サービスや教育、医療でのITの利活用が進まなかったという失敗も。ただ、COVID-19では、誰も予想しなかったトラフィック需要の急拡大にもインフラが耐えられた。
これからのDXはデジタル化の流れに誰も置いてきぼりにしないことが大事。緊急時に「公共空間」となる学校の体育館など避難所へのインターネットアクセスを完全化したい。
また、地方の大学が放送事業者と一緒に良い授業などのコンテンツを世界に発信してほしい。
世界の人が日本に関心を持ってくれ、東京一極集中の解消にもつながるだろう。