2020.10.28 来年10月メドに知多製造所停止エネオスHD

知多製造所の全景

知多製造所のパラキシレン製造装置知多製造所のパラキシレン製造装置

 石油元売り最大手のENEOS(エネオス)ホールディングスは、石油化学製品などを生産している愛知県知多市の知多製造所を21年10月をメドに停止させると発表した。製造設備の一部は出光興産に資産譲渡する協議を始めるという。

 同製造所は1973年に、原油を常圧蒸留装置(トッパー)などで処理する製油所として操業開始。2001年には、原油処理を停止し、石油製品などの生産だけを担う製造所になった。臨海部の約130万平方メートルの敷地で、主力製品として、ペットボトルなどの原料になるパラキシレンを年40万トン生産するなどしてきた。パラキシレン自体は、全国の拠点で生産されているが、知多では唯一、輸入したナフサを原料としてきた。

 停止の理由について、エネオスホールディングス広報グループは「コスト競争力を勘案した結果だ」と説明している。

 国内の石油製品の需要減退やアジアを中心とした激しい国際競争を受けて、エネオスでは17年4月のグループ発足以降、国内の製油所や製造所の生産、供給体制のネットワークを再構築して合理化する検討を進めてきた。

 19年4月には、室蘭製造所での石油化学品などの製造を停止したほか、隣接する川崎製油所と川崎製造所を一体化して運用することなどを行ってきた。また20年10月には、輸出に特化していた大阪製油所を停止した一方で、20年12月には千葉製油所を、中国系企業と合弁で運営する輸出に特化した製油所にすることにしている。

 現状では、エネオスは全国に製油所が仙台や和歌山、大分など10拠点あり、原油処理能力は日量計186万8800バレル、製造所は横浜と知多の2拠点体制だった。今後も統廃合などについて検討を続けていくとしている。