2021.01.15 【電子材料特集】各社の事業展開昭和電工

窒化アルミニウムフィラー

放熱フィラー 放熱要求の高度化に対応

 昭和電工は、セラミックス事業部における電子材料製品として ①電子デバイスの放熱フィラー ②MLCC用酸化チタン ③ガラス研磨剤を展開している。

 放熱フィラーについては、アルミナや窒化ホウ素を材料としたフィラーに加え、20年7月に窒化アルミニウムを材料とした「高耐湿・高熱伝導の窒化アルミニウムフィラー(窒化アルミフィラー)」を開発、サンプル提供を開始した。半導体の高性能化に伴う放熱要求の高度化に対応できる製品として提案する。

 セラミックス事業部の大久保卓也理事事業部長は、窒化アルミニウムフィラーについて「電子部品の高集積化やパワーデバイスの高性能化に伴う放熱性の高い材料への要求に対応して開発した製品。従来の窒化アルミニウムが抱えていた課題が改善され、引き合いも増加している」と説明する。

 窒化アルミニウムは高い絶縁性、シリコンと同程度の熱膨張係数、半導体製造用塩素系ガスに対する耐性など、優れた特性を有する。ほかのフィラー材料に比べ熱伝導率にも優れるが、水分が付着すると加水分解で腐食性のアンモニアが発生するのが課題だった。

 同社は窒化アルミニウム表面に独自の極薄膜による処理を行うことで、樹脂充填時の熱伝導率を低下させることなく、従来比でアンモニアの発生を1万分の1に抑制できる高耐湿性・高熱伝導性を持つ放熱フィラーの開発に成功した。球状のため扱いも容易。量産開始は23年を計画する。

 同社の放熱フィラー事業では、汎用性の高いアルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウムの3種の材料をそろえることで市場の幅広いニーズに対応していく。特に横浜事業所で生産する丸み状の微粒アルミナ「AS」は同社のオンリーワン製品。「放熱フィラー事業は米中摩擦などの影響で一時低迷したが、20年後半以降回復している」(大久保理事事業部長)とし、今後も同事業を中期で拡大させていく計画。「特に、5G化が進む通信関係(端末/基地局)や電子化・電動化が進展する自動車などでの需要の伸びに期待している」という。

 同社が展開するMLCC原料の超微粒子酸化チタン「スーパータイタニア」についても、高純度、超微細でバラつきが少ない点などが高く評価されており、今後も市場の拡大に合わせた事業拡大を推進する。