2021.01.28 【ルームエアコン特集】 過去最高の出荷ベース続く買い替え、買い増し需要が顕在化

在宅時間が増え、清潔・快適意識が高まり、エアコン買い替え需要の顕在化が進んだ

 ルームエアコンは今期、過去最高の出荷ベースが続いている。コロナ禍で店頭に顧客が足を向けにくい時期もあったが、在宅時間の増加が、買い替え購入の促進につながったようだ。来年度に向け新商品の投入も本格的に始まり、省エネ、清潔性、快適性などの性能が向上した新商品を中心に、付加価値の高い提案が重要となる。(関連特集6面)

 ルームエアコンは、夏場の天候要因に大きく左右される商品だが、20年については異例の展開となり、高水準の出荷が続いた。

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、テレワークなど在宅時間が増えたことを機にエアコンの買い替え、買い増し需要が顕在化。特別定額給付金の効果も大きかった。

 また、年末商戦でも〝暖房機〟としての普及が進み、年間通して販売店の主力商品の一つとして、存在感の強い商品となった。

 今年は特に空気質に敏感なユーザーも多く、清潔、快適機能が充実した新モデルの提案が重要になる。

 ■市場動向

 20年(暦年)のエアコン商戦は、コロナ禍に影響されたものの、出荷台数は過去最高のペースを維持できた。

 空気質や清潔性といった面での関心が高まり、こうしたユーザーニーズに対応したフラグシップモデルなど、進化した商品戦略がユーザーからも評価されている。

 市場では、在宅の機会が増えたことで、室内環境には高い関心を持つユーザーが増えている。省エネ・快適性の両立といった従来の提案切り口から、今年は清潔、安心といった切り口での提案が重要となっている。

 現在、各社から新製品の発表、発売が順次行われており、21年の新モデルについては快適暖房性能をはじめ内部クリーン、除菌・脱臭機能搭載、さらには換気性能搭載に至るまで、室内の清潔性向上につながる特徴をしっかり搭載している。

 空気質や清潔に対する意識が高まるユーザーに対して、クリーン性能を訴求することで、さらなる買い替え需要や買い増し需要の顕在化にもつながる。

 日本冷凍空調工業会(JRAIA)のまとめによると、20年12月単月のルームエアコン出荷台数は、前年比8.6%増と大きく伸び、3カ月連続のプラスで推移した。

 また20年累計では、前年比0.6%増の986万9000台となり、5年連続の成長となった。データの確認できる1972年以降、過去最高の出荷数量となったという。

 1000万台も目前といった旺盛な需要が、21年も継続するかどうかは不透明だが、メーカー関係者によると、これがピークとなるのではという向きもある。

 それでも年間900万台を超える需要は十分に見込め、依然として高水準の中で買い替え、買い増し需要の顕在化をいかに図るかが、今年の大きなテーマといえそうだ。

 ■商品動向

 ダイキン工業の調査によると、コロナ禍の空気感は今後、「1年続く」(30.2%)、「2年続く」(21%)、「3年以上続く」(18%)と、長期化すると感じているユーザーが多いという。

 ニューノーマル時代を迎え、空気質、清潔への関心は高止まりしそうで、清潔性を重視した商品の特徴が支持されることになる。

 各社が21年モデルの開発で力を入れるのはまさにこの点で内部クリーン、除菌・脱臭、空清機能の強化などに力を入れた商品戦略が目立っている。

 ただ、ユーザーのエアコンへの要望として、省エネ(電気代削減)が大きなポイントに挙がっていることも変わっていない。

 この点、内部を清潔に保つ(ほこりを付けない)ことが、運転負荷の軽減にも大きく貢献することから、省エネ・清潔は両立できる特徴でもあり、エアコン需要顕在化を図る際の大きな訴求ポイントにもなる。