2021.03.03 【スマートエネルギー総合特集】 「スマートエネルギーWeek2021」開幕
昨年は、講演会場などに多くの人が集まった
新エネルギーなどを網羅した国際総合展「第17回スマートエネルギーWeek2021」が3日から3日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれる。国が50年に向けた方針を表明したことで一気に機運が高まりつつある「脱炭素社会」。それを実現するためのカギとなる太陽光や風力、バイオマスといった再生可能エネルギーや水素エネルギーなどについて展示される。
8展示会で構成
スマートエネルギーWeekはエネルギーの総合展で、計八つの展示会で構成される。会場では「第17回国際水素・燃料電池展」「第12回国際二次電池展」「第14回国際太陽光発電展」「第11回国際スマートグリッドEXPO」「第9回国際風力発電展」「第6回国際バイオマス展」「第5回次世代火力発電EXPO」「第1回エネマネ・自家消費EXPO」が開かれる。同種の展示会としては国内で最大級だ。また「第3回資源循環EXPO」も同時開催される。
昨年は2月26-28日に、コロナ禍で感染対策をしながらの開催となり、3日間で計約1万8500人が来場したものの、例年を大幅に下回った。今年も万全の対策を取りながら、約600社程度が出展する見通し。オンラインも含めて、約4万人が参加すると見込まれている。
環境負荷の低減へ
今回の目玉の一つは、初開催となるエネマネ・自家消費EXPO。15年に地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」が採択され、国連サミットでもSDGs(持続可能な開発目標)が定められるなど、世界全体で環境負荷の低減、脱炭素への意識が高まっている。
サステナブル経営
そうした潮流を受け、企業単位でも「サステナブル経営」が求められ、環境負荷の少ない企業活動が必須とされてきた。主催するリード エグジビション ジャパン(東京都新宿区)は「太陽光発電は、再エネ固定価格買い取り制度(FIT)の大きな枠組みから、自家消費などで、コスト削減することにトレンドが向いている」と話す。そこをターゲットにしたエネルギーマネジメントシステムや、省エネのコンサルティングなどの企業が出展。需要家、工場やビルを持つ企業などに向けて提案していく。
導入した発電設備のコスト削減方法や、事業者の屋根上に太陽光発電システムを無償設置し、発電した電力を需要家が購入するビジネスモデル、PPAモデルなどがキーワードになるという。
洋上風力発電推進へ
さらに、もう一つの見どころが洋上風力だ。19年4月に洋上新法が施行され、洋上風力発電事業を本格的に推進できるようになった。
風力発電展のエリアには、洋上風力の促進、普及を後押しする企業、製品が多く出展する。洋上風力設備を建設するために開発された工法を紹介したり、海洋・海底地盤を調査する機器、サービスが展示されたりする。「国が導入目標を既に掲げており、それに向けて日本市場が拡大するのは間違いない」(リード エグジビション ジャパン)とされ、注目を集めそうだ。
注目の全固体電池
世界的な「EV(電気自動車)シフト」の流れは、展示会にも影響している。世界中の自動車メーカーが将来的にEV生産に全面シフトしていくことを次々と表明する中、そのカギを握る一つが、「全固体電池」だ。次世代電池の本命とされ、実用化が急がれている。
二次電池展は、耐環境性を備えた全固体電池と専用の充放電器などが出展される。全体固体電池の開発、製造のヒントを求め、電池メーカーや自動車メーカーの技術者も多く来場すると見込まれる。
200の講演を予定
また期間中、会場では企業や行政などの関係者らによる約200の講演が予定されている(事前申し込み制)。5日は「持続可能社会における企業経営~ESG投資、RE100~」をテーマにして、大和ハウス工業の小山勝弘環境部部長と、イオンモールの岩本馨顧問が脱炭素経営の先進的な取り組みを語る。
3日には、三菱商事の岡藤裕治電力ソリューショングループエネルギーサービス本部長や、大林組の東出明宏執行役員土木本部再エネ営業推進室長が、洋上風力の大量導入に向けた展望を紹介。洋上風力を取り巻く今後の展開を語る予定だ。
オンライン商談も
さらに、コロナ禍での開催となったことで、新たな取り組みとして「オンライン商談サービス」を導入する。社内の出張規制などで直接、展示会に参加できない人向けのサービスで、ビデオ通話で商談ができたり、チャットで質問したり、出展製品のパンフレットをダウンロードできたりする。
リード エグジビション ジャパンは「政府はエネルギーを政策の柱として動きを強めている。今回の展示会では、参加者は目的意識を持って来場し、商談に臨むと見込まれ、業界を活性化させるのに役立つと考えている」と話している。