2021.04.09 「まん延防止」拡大、CO₂濃度測定で対策店舗などの3密回避、みんな電力がサービス

CO₂濃度などを測定するセンサー

 新型コロナウイルス感染の全国的な再拡大を受け、国が「まん延防止等重点措置」の適用地域を広げる中、再生可能エネルギー系の新電力、みんな電力(東京都世田谷区)は8日、店舗や事業所内の二酸化炭素(CO₂)などの空気環境データを計測して管理するサービスを始めると、発表した。感染防止のため、室内で「3密」を避けることが推奨されているが、「密を見える化」する指標として人が吐くCO₂の濃度が重要視されているという。濃度センサーの品薄が続いている状態で、重点措置の適用地域では先行的にサービス提供を始める。

 新たに始めるサービスは「MADO(マド)」。オフィスや店舗の空気中で、CO₂のほか室温や湿度、総揮発性有機化合物、大気汚染の原因ともなる微小粒子状物質(PM2.5)の五つの数値を計測する。室内に設置したセンサーから、クラウドに送信してデータ化。店舗内に取り付けたモニター画面などに表示し、改善が必要な際は、換気などを促す通知もできる。常時、計測を行い、15分ごとにデータ更新する。

 また、データの推移を分析して、改善方法などについてのコンサルティングも手掛け、継続的に空気環境対策をアドバイスする。

 サービスの本格的な開始は今月20日からだが、国が、関西地方や東京都などに重点措置の適用を広げているため、適用地域では先行して50カ所限定でサービス提供することにしたという。

●濃度測定器設置の要請

 背景には、国などが3密対策としてCO₂濃度の数値管理を重視していることがある。十分な換気がないと、呼気から出るCO₂の室内濃度が高くなる。そのため、厚労省は、感染拡大防止の対策としてCO₂濃度を一定以下にすることを推奨。内閣府も、飲食店などへの新技術として、CO₂センサーなどを活用して換気を見える化させたり、自動化させたりすることを提唱している。

 こうした点を受けて、東京都が3月に公表した中小企業などに助成する対策費用にも、濃度測定器が含まれた。今月5日に重点措置が適用された大阪府も、飲食店に対し濃度測定器の設置を求めているという。同社は「CO₂管理は、コロナ対策のスタンダードになりつつある」と指摘する。

 新たなサービスは、1センサーにつき対象面積が約50平方メートル。月額1650円から導入可能で、2021年度中に2万カ所での設置を目指す。同社の担当者は「換気する頻度に困っている飲食店なども多い。見える化することで、換気の適切な頻度を、室内の皆で共有できる」と話している。

センサーの設置例

 事業所内の空気環境を巡って同社は20年3月に、空気中に浮遊する菌類量などを検査しデータ化する事業「みんなエアー」を開始。この事業の一環として、マドを始める。

 みんなエナーは、コロナ禍で職場や店舗内の衛生管理意識が高まっていることなどを受けて、21年3月までに全国約200施設で導入された。今後、23年度中に5万カ所、25年度中には100万カ所へと拡大することを目指している。