2021.04.13 製油所走る超小型EV出光興産が導入、太陽光発電からワイヤレス給電

巨大な製油所で所員の足となる超小型EV

カーポートでワイヤレス給電される超小型EVカーポートでワイヤレス給電される超小型EV

 石油元売り大手の出光興産は、同社の北海道製油所(北海道苫小牧市)に、太陽光発電で走る超小型の電気自動車(EV)を導入した。他社を含め道内に唯一ある製油所。約212万平方メートルある構内で、所員が設備点検などで移動する際に利用される。

 導入したのは、軽自動車よりも一回り小さい車体で、長さ約2.5メートル、幅約1.3メートル、高さ約1.6メートルの2人乗り。最高速度は時速45キロメートルほどで、航続距離は約140キロメートル。

 同社は、車両の設計・開発などを手掛けるタジマコーポレーション(東京都中野区)と4月に新会社、出光タジマEV(東京都千代田区)を設立。出光タジマEVが提供するEV「ジャイアン」2台をいち早く導入した。

 構内には、EVを充電するカーポートも設置した。屋根には同社の子会社、ソーラーフロンティアが開発した実発電量の多さが特徴のCIS太陽電池を配置。蓄電池なども活用しながら、発電した電力をEVにワイヤレス給電し、6-8時間でフル充電できる。一時期を除けば、ほぼ太陽光発電だけで賄えるという。

 同製油所は、冬場には零下10度を下回る寒冷地にある。こうした地域での超小型EVの有効性を検証し、データ収集などにも役立てるという。出光タジマEVは、新会社として初となる新型車両を今年10月に発表する予定だが、「今後の車両開発では、製油所での検証データなどを生かしていく」(出光興産)方針だ。

 同製油所では、施設内で省エネや高効率設備の導入を推進し、緑化事業にも熱心だ。2019年9月には、都市緑化機構が民間管理の緑地を評価する緑の認定制度「SEGES」で、北海道内の工場施設として唯一、最上位ステージの認定を受けた。
 太陽光発電で走る超小型EVは、緑地あふれる製油所のシンボルになりそうだ。