2021.04.27 【スマホ用部品特集】製品別動向

金属板抵抗器

回路部品
超小型チップの搭載化率アップ

 スマートフォンは小さい面積に多機能を搭載するため、高密度実装化が進展している。特に5G(第5世代高速通信規格)スマホの実装密度は一層高まっており、内蔵される回路部品は超小型チップ部品の搭載化率が一段とアップしている。

 最近のスマホはディスプレーの大画面化により、ハイエンドモデルは大型化が進んでいるが、高機能化と内蔵バッテリーの大型化も進んでいるため、プリント配線板はより微細化され、実装技術の高度化が進んでいる。実装されるチップ部品には一層の小型化が要求されている。

 特に5Gスマホでは、高周波領域を利用し、高速、多機能、低遅延、多数接続化するために、実装技術の高度化がこれまで以上に求められている。

 プリント配線板は、現在、エニーレイヤー工法のビルドアップ多層板が使用されているが、ローコスト機種から高機能機種まで、基板の層数と微細化の仕様は異なる。その中で、高機能機種では、10層以上、L/S=50マイクロメートル/50マイクロメートル程度まで微細化している。

 今後、回路形成はこれまでの一般的なエッチング法から、めっきによる回路形成であるMSAP工法が取り入れられることによって、飛躍的に回路の微細化が進み、L/S=25マイクロメートル/25マイクロメートル程度までファイン化する。部品の実装技術が飛躍的に高密度化することになる。

 積層セラミックコンデンサー(MLCC)は、高級機では端末1台当たり800個以上が搭載され、チップ抵抗器も400個内外が実装される。

 高密度実装化をサポートするため、小型で大容量化するMLCC、小型で高耐圧化するチップ抵抗器を使用する傾向が高まっており、1608から1005サイズの搭載点数を削減し、0603サイズ、0402サイズといった超小型チップの搭載点数の比率を上げる方向にある。

 既に0201サイズまでチップ部品が小型化しているが、コスト、実装信頼性、部品調達の安定性などのさまざまな観点から、当面は0402サイズと0603サイズの採用がさらに広がるものとみられる。

 電源回路を省スペース化するためにパワーインダクターの小型化技術も向上している。フェライト系から大電流対応で有利なメタル系の新製品開発が、巻線、薄膜、積層の加工工法で活発化している。

 水晶デバイスは、5Gスマホ向けに、パッケージの小型・薄型化が進展。温度センサー内蔵水晶振動子では、1612サイズで厚みが0.45ミリメートルなどの超薄型品が開発されている。さらに、1210サイズへと小型・薄型化技術が進む。

 TCXOも、1612サイズまで小型化しているが、新たに1210サイズも開発されている。

接続/変換部品
一層の小型化など新製品開発が活発

 接続/変換部品メーカー各社は、スマートフォンやウエアラブル端末などのモバイル機器向けに一層の小型薄型化や高速伝送対応、急速充電対応、使い勝手の向上などを追求した新製品開発を活発化させている。

USBタイプCコネクター

 スマホ内部接続用コネクターは、低背・狭ピッチ・省スペースの基板対基板用コネクターやFPC接続用コネクターの開発競争に拍車がかかっており、嵌合(かんごう)高さ0.5ミリメートルの0.4ミリピッチ基板対基板コネクターや、0.35ミリピッチ基板対基板コネクター、シールド付きFPCコネクターなどのラインアップ拡充が進んでいる。

 特にハイエンドスマホの内部接続に多用される基板対基板用コネクターでは、より狭ピッチ化を追求した0.3ミリピッチコネクターも本格的な量産が始まりつつある。

 FPC接続用コネクターは、0.3ミリピッチFPCコネクターの低背化や省スペース化の追求とともに、より狭ピッチ化を追求した0.25/0.2ミリピッチ品、千鳥形状の0.175ミリピッチ品などが開発されている。

 今後、本格的な普及が見込まれる5Gスマホ向けには、優れた高周波特性かつ小型化を実現したマルチRF対応基板対基板コネクターなどの開発も進んでいる。

 さらに、5Gのミリ波帯使用を視野に、32ギガbps対応の小型高性能同軸ケーブルコネクターなど、ミリ波用コネクターの新規開発の動きも活発化している。

 電源用コネクターでは、スマホバッテリーの大型化やパワーマネジメントの高度化への対応として、電流容量10A対応の電源用基板対基板コネクターなどが開発されている。

 インターフェース系は、新規格のUSBタイプC準拠コネクターの開発に乗り出す企業が増加。同コネクターはプラグの表裏を気にせず挿抜できるリバーシブル嵌合が可能で、最大10ギガbpsの高速伝送に対応。

 また、高級スマホでの防水ニーズの高まりに対応し、高度な防水技術を施した防水ジャックや防水インターフェースコネクターの技術開発も活発化している。

 携帯端末用スイッチは、超小型かつ高信頼性、長寿命などを兼ね備えたスライドスイッチや検出系スイッチの開発に力が注がれる。良好な操作フィーリングの追求や完全防水仕様の操作系スイッチ開発も活発化している。

 変換部品は、スマホ同梱(どうこん)用のワイヤレスイヤホンの開発や、MEMSマイクロホンの超小型・高音質化が追求されている。