2021.05.27 【照明総合特集】紫外線動向ウイルス抑制や除菌で脚光

パナソニックの空気循環式殺菌灯「ジョキーン」

 コロナ禍は照明の出荷台数にマイナスの影響を投げかけているが、急激に需要が高まっている「あかり」もある。紫外線だ。

 ウイルス抑制や除菌ニーズが高まったことで、さまざまな企業が紫外線を使った除菌装置などを製品化。殺菌灯として以前から使われてきたあかりだけに、照明メーカーもチャンスと捉えて、製品化に乗り出している。

 2年に1度開催される照明関連の展示会「ライティング・フェア」。今年3月9日に東京都内で開催された同展では、直前の5日に緊急事態宣言の延長が発出されるなど、物々しい雰囲気の中、開幕した。

 こうした状況下で各社のブースに展示されたのは、除菌・殺菌関連の製品だ。パナソニックやエコ・トラスト・ジャパンが紫外線による空気循環式殺菌灯をアピールしたほか、東芝ライテックは、ウシオ電機開発の深紫外線ランプを搭載したユニバーサルダウンライトタイプを展示。岩崎電気も、10年以上販売してきた空気循環式紫外線清浄機をメインに紹介した。住宅や施設を明るく照らす「あかり」とは異なるが、あかりの一種である紫外線が持つ殺菌力を訴求する製品を、主要な出展社が全面展開した格好だ。

 紫外線の中でも、殺菌力が高いとされる波長の深紫外線(UV-C、波長200~280ナノメートル)の注目度が増している。殺菌力が高い半面、人体にも有害であるため、製品化に当たっては安全面で最大限の配慮が必要になる。ただ、大学や研究機関によるエビデンスに基づく除菌性能を強みに、導入は加速している。

 ウイルス抑制や除菌に対する社会的な意識は大きく変わった。次亜塩素酸やオゾンなど除菌関連の技術は紫外線に限らず活況だ。照明業界にとっては今後、紫外線の役割がこれまで以上に重視されそうで、ビジネスチャンスも多く生まれそうだ。