2021.05.28 CCUS目指し、共同事業を検討CO₂貯留も視野、JAPEXと三菱ガス化学
石油資源開発(JAPEX)と三菱ガス化学は28日、新潟市内で隣接する二つの施設で二酸化炭素(CO₂)を有効活用する共同事業の検討を始める、と発表した。工場から排出されたCO₂を操業中の油ガス田に圧入して貯留することなどを想定した事業。2030年までに実証試験を始める方針だ。
JAPEXは、新潟県内で5カ所の油ガス田で石油や天然ガスの生産操業している。そのうちの一つで、新潟市内にある東新潟ガス田は、1959年の生産開始当初から三菱ガス化学も一部権益を持ち、共同操業を続けている。
このガス油田の隣接地には、三菱ガス化学の新潟工場があり、これまでメタノールやアンモニアなどを製造してきた実績がある。三菱ガス化学は、工場の化学製品製造過程で排出されるCO₂を回収して再利用し、工場内でメタノール製造する事業について検討を始める。CO₂回収技術などについて両社で検討を進めるが、「必要なパートナー企業に協力依頼することもあり得る」(JAPEX)という。
また、その際の余剰分のCO₂について、東新潟ガス田の地下に圧入していくことを計画している。生産を続けたガス油田は、地下の圧力が下がり、回収し切れない油ガスが残ってしまう。外部からガスなどを圧入することで、押し出すことができるため増産につながる。東新潟ガス田でも、ピーク時から生産量は減少しており、CO₂の圧入で、石油やガスを増産できるメリットもある。
JAPEXは、関連会社の日本CCS調査(東京都千代田区)が北海道苫小牧市のプラントで実際に地下にCO₂を貯留する国内初となる実証を行った。この経験を活用し、東新潟ガス田に圧入したCO₂をモニタリングするなどして貯留していくことも視野に入れている。
こうした技術は、CCUS(CO₂の分離、回収、利用、貯留)と呼ばれ、カーボンニュートラル社会に向けた主要な技術として期待されている。商業化できれば、国内で初めてとなり、両社は、将来的に新潟エリアを中心にこの技術を展開していくことも想定しているという。
JAPEXと三菱ガス化学は、東日本大震災で壊滅的な津波被害を受けた福島県新地町で、建設された福島天然ガス発電所の運営会社に共同出資するなど、連携を深めている。