2021.06.02 政府が成長戦略実行計画案デジタル化へ集中投資、5GやDC整備など加速
記者会見に臨む西村康稔経済再生担当相=2日、東京都千代田区
政府は2日に開いた成長戦略会議(議長=加藤勝信官房長官)で、成長戦略実行計画案を提示した。与党との調整を経て、今月中の閣議決定を目指す。新たな成長の原動力となるデジタル化に集中投資する方針を明記。情報通信インフラの整備やデータセンター(DC)の最適配置などに重点的に取り組む道筋も示した。
デジタル関連では、「未来志向のデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)を大胆に推進し、成長の原動力とするとともに、専門人材の強化を図り、全国民にデジタル化の恩恵を届ける」と明記。その上で、9月創設のデジタル庁を中心とする官民が、徹底した国民目線で使いやすいデザインや内容を確保したサービスを創出するための環境を整える計画を盛り込んだ。
第5世代高速通信規格「5G」を巡っては、情報通信インフラの集中整備に加えて、産業用途の拡大に必要な多数同時接続や低遅延といった機能を強化した「ポスト5G」や次世代規格「6G」の技術開発を推進。さらにデジタル需要やデータ通信量の急増に対応し、高性能・低消費電力のDCを最大で5カ所程度整備する方針なども示した。
国内半導体産業の再興を目指し、デジタル社会を支える先端半導体の設計やその製造技術の開発を「研究開発基金などで積極的に支援する」とも明記。脱炭素社会の実現に向けては、水素ステーションや電気自動車向け急速充電設備など、関連施設の整備を加速する計画を盛り込んだ。
副議長を務めた西村康稔経済再生担当相は会議終了後の記者会見で、「デジタル、グリーン、ヒューマン(人材投資)という三つのニューディールを積極的に進めることで、民間の投資や創意工夫を促したい」と強調した。