2021.06.07 ASPINAがロボット事業拡大AMRに新規参入、量産へ

ASPINAのAMR

 ASPINA(シナノケンシ)は、ロボット事業拡大の一環で、製造現場向けAMR(Autonomous Mobile Robots=自律走行搬送ロボット)に新規参入する。6月からの試験販売を経て、2022年度から本格的な量産を開始する。

 同社は18年に創業100周年を迎え、19年にはコーポレートブランド「ASPINA(アスピナ)」を採用し、ロボット分野、医療・福祉分野、第5世代高速通信規格5G関連分野などを成長分野に据えて、グローバル事業を展開している。

 培ってきた精密モーター技術や位置決め技術などを応用し、19年にロボット分野に新規参入。ロボット関連製品としてロボットハンドを製品化した。電動3爪ロボットハンドARH305Aは、ユニバーサルロボットの「UR+」として認証を受けた。

 工場の搬送自動化の手段として、AMRやAGV(Automatic Guided Vehicle=自動搬送車)が注目されている。AGVは磁気テープ・ランドマークなどに沿って走行し、障害物があると停止するが、AMRはマップをもとにガイド不要で自律走行し、人や障害物を検知して回避しながら走行する。

 製造現場は自動倉庫や完全自動化の工程と異なり、レイアウトが頻繁に変わり、AGV搬送用ガイドを引き直す必要が生じる。同社が開発したAMRは拡張性や柔軟性があり、今までAGVでは対応が難しかった、少量多品種の製造ライン、レイアウトが頻繁に変わる工程、既存工場などにも導入することができる。

 SLAM機能(移動体の自己位置推定と環境地図作製を同時に行う技術)を搭載しているため、実際の走行場所を走らせるだけで地図の自動作成が可能。既存ラインへの導入も簡単で、準備が短時間でできる。

 ガイドが不要な自律走行のため、工場レイアウト変更やライン新設にも簡単に対応できる。タブレット画面の地図上で搬送先を指示するだけなので、現場での操作性にも優れている。

 最小回転径が700ミリメートルと小さく、360度スピンターンが可能なため、狭い通路や限られた場所でも小回りが利き、自在に動く。自動ドアの認識など現場設備に合わせた走行も可能で、自社ラインに最適な形で搬送の自動化を実現する。

 進行方向に障害物を検知するとすぐに停止するため、人との協働も可能で、停止したあとは状況を確認してから、自動復帰し回避走行する。地図にない障害物がある場合は、目的地までの別経路を自動で再探索する。

 最大積載重量100キログラム、電源条件24V、9A(最大電流)、大きさは幅525×奥行き615×高さ250ミリメートル、本体重量44キログラム(同社推奨バッテリー込み)。連続動作時間12時間以上(同社推奨バッテリー使用)、インターフェースはWi-Fi(ブルートゥース対応可能)、最大速度2.8キロメートル/時。