2021.06.18 再エネ専業レノバ、初の地熱発電所7月に本格着工、ホテル跡に立地
南阿蘇湯の谷地熱事業での噴気試験の様子(20年9月)
再生可能エネルギー専業の発電事業会社、レノバ(東京都中央区)は18日、熊本県南阿蘇村で同社が参画する地熱発電所を建設する、と発表した。同社としては初めての施設となる。7月から本格着工し、22年12月からの運転開始を予定する。
建設するのは、南阿蘇湯の谷地熱発電所。レノバや、投資、エネルギー事業などを手掛けるフォーカス(東京都港区)など3社が15年から、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の助成制度を活用し、地表調査や掘削調査などを進めてきた。事業会社、南阿蘇湯の谷地熱を17年11月に設立し、このたび着工することになった。
レノバによると、建設予定地にはかつて観光ホテルが立地しており、ホテルでは地熱を熱源などに活用。そのための蒸気プラント設備などが残されており、地元では地熱発電の候補地として注目されていた。「廃プラントは蒸気を吹き出している状態で、十分なポテンシャルが見込めた」(レノバ)という。
レノバは地熱を再エネの中でもベース電源として捉え、有望地を探す中で、土地を所有していたフォーカスなどと協力することになった。
設備容量は2MWで、年間発電量は約1480万kWhを想定。再エネ固定価格買い取り制度(FIT)を活用し、1kWh当たり40円で売電する。
レノバは、開発中や建設中を含め国内外で25の再エネ事業を展開し、設備容量は約1.8GWに上る。太陽光発電13事業のほか、バイオマスが6事業。まだ開発中か建設途上にとどまるが、洋上風力(1事業)と陸上風力(3事業)にも広げている。
国内に世界有数の資源量があるとされる地熱では、南阿蘇村に加え、資源が集中していると期待される北海道でプロジェクトを進めている。函館市の函館恵山地熱プロジェクトでは、発電に必要な蒸気の有無を確認するため、短期間の仮噴気試験を20年10月に実施するなどしてきた。
レノバ広報室は「地熱発電がもつポテンシャルを最大限に生かし、日本の地熱発電を前に進めるべく開発に邁進している」としている。