2021.06.23 ニチコンがメタマテリアル放熱シート開発 フィルム型ペロブスカイト太陽電池採用の電子棚札も

アルミ箔製メタマテリアル放熱シート「VSI」のマイクロキャビティー構造

 ニチコンは、耐熱・機能性・特殊塗料メーカーのオキツモ(三重県名張市)、素材・材料専門商社KISCO(大阪市中央区)と共同で、新しい放熱手法を用いたメタマテリアル放熱シート「VSI(ヴィサイ)」の開発を完了した。オキツモが長年にわたり研究開発してきた、赤外線波長を選択放射して樹脂筐体内の熱源からの熱を樹脂筐体を透過させて外部に放熱する手法を用いるもので、15センチメートル角シートを試作。3社で業務提携して商品化し、ロール・ツー・ロール方式で量産準備に入る。

 また、京都大学発スタートアップ企業のエネコートテクノロジーズ(京都市上京区)、リコー電子デバイス(大阪府池田市)と共同で、世界初のフィルム型ペロブスカイト太陽電池を採用した「メンテナンスフリー電子棚札システム」を開発、試作に成功した。

 両成果は、きょう23日から東京ビッグサイト青海展示棟で開催される「TECHNO-FRONTIER2021 第36回電源システム展」の同社ブースで披露する。VSIは試作シート(15センチメートル角)を出品、電子棚札システムはコンセプト展示により紹介する。

 メタマテリアル放熱シートVSIは、アルミ箔表面にエッチングとフォトリソでマイクロメートル単位のマイクロキャビティー構造を周期的に作り込み、マイクロキャビティーで赤外線の波長を選択し、樹脂筐体を透過させて外部に放射する。CPUに粘着剤含め140マイクロメートル厚みのVSIを直接貼り付けた場合、従来の放熱材料のグラファイトシートに比べてCPU表面温度を1.12度低い36.62度に、カバー背面樹脂表面温度を1.95度低い32.75度に抑えることができる。

世界初フィルム型ペロブスカイト太陽電池を採用したメンテナンスフリー電子棚札

 電子棚札は、エネコートテクノロジーズの印刷コーティングのフィルム型ペロブスカイト太陽電池、ニチコンの円筒タイプ小形リチウムイオン二次電池(容量4.0mAh、φ8×11.5ミリメートルサイズ)、リコー電子デバイスの降圧、昇降圧のDC-DCコンバーターを組み合わせて構成。室内の低照度下で使用でき、従来のコイン型電子棚札で課題だったメンテナンスフリーを実現した。